なでしこJ守護神・山下杏也加がパリから持ち帰ったもの。マンCデビュー戦で見せたMVP級の存在感
WSLがいよいよ開幕。CLの舞台に出場するチャンスも
――4年前にGKとしてプレーする醍醐味を伺った時に、「絶対に入る、と思われるようなシュートを止めること」と話していましたが、その思いに変化はありましたか? 山下:それは変わらないですが、FWの選手が打ったシュートを自分がセーブで弾いた時に、その選手が悔しがる姿を見るのは好きです(笑)。試合後に映像をチェックしている時は、自分のポジショニングをチェックした後にもう一回巻き戻してFWの選手が悔しがる姿を見て「よし!」みたいな(笑)。 ――それは難しいシュートほど、止めた時にモチベーションが上がりそうですね(笑)。シティはUEFAチャンピオンズリーグにも予選から出場しますが、そのモチベーションはどうですか? 山下:まさかチャンピオンズリーグに出られるチームに加入できるとは思っていなかったし、本当に夢のような舞台なんだろうなと思います。ただ、やるからにはそこで試合に出て、勝利に貢献することが一番だと思います。 ――9月22日には、いよいよ女子スーパーリーグ(WSL)が開幕します。アーセナルとの開幕戦に向けて、楽しみなことはありますか? 山下:まだアーセナルは映像でしか見たことがないので、選手の強さや特徴や、どんなサッカーをしてくるのかわからないですが、試合に出たら勝って、レギュラーの座をつかむために、いいパフォーマンスをし続けないといけないと思います。チームのために自分ができることを全力でやるつもりです。 ――昨季は、長谷川選手が、2年連続のバロンドール候補、そしてPFA(プロサッカー選手を会員とするイングランドの労働組合)が選出する優秀選手6人に選ばれました。個人的に目指したい賞はありますか? 山下:唯が選ばれたのは現役選手たちが投票する賞だと思うので、それはすごく名誉なことだと思います。キーパーとしてのパフォーマンスを認められて、そこに「Yamashita」っていう名前がのったらいいなと思います。 ――ユニフォームの名前はAyakaではなくてYamashitaですか? 山下:そうです。日本と同じで、こっちでもチームメートのみんなに「ヤマ」と呼ばれているので、苗字にしました。そっちのほうが自分自身も早く反応できるし、サポーターの皆さんもわかりやすいかなと。 ――ホームスタジアムでサポーターの応援コールが聞けるのも楽しみですね。最後に、サッカーをやっている少女たち、山下選手に憧れるGK選手たちにメッセージをお願いします。 山下:サッカーでキーパーが注目を浴びる機会は少ないと思うので、キーパーというポジションに興味を持ってもらえたり、「キーパーをやってみたい」と思う子が一人でも増えたらいいなと思いながら、いつもプレーしています。GKとして成長するためには、トップレベルの環境でサッカーをすることが大切だと思うし、成長するためにどのクラブでプレーしたほうがいいのか、チーム選びは大切だと思います。ただ、中学から高校になった時にサッカーを続ける環境がなくて競技をやめてしまう子たちが多いので、今回の移籍も含めて、なでしこジャパンの選手がトップレベルでプレーを示して、世界で活躍できる可能性を広げられるようにプレーしたいと思っています。 <了>