なでしこJ守護神・山下杏也加がパリから持ち帰ったもの。マンCデビュー戦で見せたMVP級の存在感
「スイッチ」が入ったデビュー戦。好プレーでレギュラー争いにアピール
――オーストラリアで行われたプレシーズンのパース国際カップでは、準決勝の後半から出場して好セーブを連発し、PKも2本止めてヒロインになりました。籾木結花選手と宝田沙織選手が所属するレスター・シティとの日本人対決でもありましたが、デビュー戦でしっかりパフォーマンスを発揮できた手応えがあったんじゃないですか? 山下:そうですね。試合が始まる前に、もみ(籾木)と話す機会があって、「出るかもしれない」と言っていたので、「対戦したら、日本人には絶対ゴールを決められたくない」という変な意地もありました(笑)。デビュー戦で失点はしたくないし、サポーターやファンに認められるためには試合で活躍することが一番だと思うので、自分の評価や第一印象がこの試合で決まると考え、いつもより集中していたと思うし、スイッチが入った感じがありました。 ――ワールドカップやアジア大会など、国際舞台の大一番でも好セーブを連発することがありますが、どういう時にスイッチが入るのですか? 山下:自然に入ることが多いんですが、今は「試合に出たい」という欲が以前より出てきたのも大きいと感じます。これまでは、いつも通り練習していれば試合に出られる状況だったんですが、シティでは自分が成長してレギュラーをつかみ取らなければいけないですし、その刺激がスイッチを入れる原動力になっている感覚があります。 ――シティではイングランド代表のキアラ・キーティング選手とのライバル争いがありますね。 山下:はい。彼女は20歳と若くて、身長はあまり変わらないんですけど、プレースタイルが似ているからこそ、ライバルに近い存在だと思います。 ――レスター・シティ戦は長谷川唯選手、藤野あおば選手も含めて、日本人選手が5人同時にピッチに立ちました。日本人女子選手が評価されている実感はありますか? 山下:それはあります。PKの最初の5人は監督が信頼している人しか蹴れないと思うので、「大事な場面で日本人選手がこんなに信用されてるんだ」と思いました(*)。 (*)長谷川、藤野、籾木、宝田がキッカーに指名された)