なでしこJ守護神・山下杏也加がパリから持ち帰ったもの。マンCデビュー戦で見せたMVP級の存在感
新生なでしこでは「新監督の戦術にどれだけフィットできるか」が勝負
――ワールドカップやオリンピックなどの国際大会で、敗れた試合後は涙が止まらない選手もいますが、山下選手はいつも「何が足りなかったのか」を冷静に話す姿が印象的です。経験を重ねる中で、メンタル面での変化も感じていますか? 山下:そうですね。以前は失点したら味方に怒っていたんですが、それはなくなりました(苦笑)。今は、失点したらすぐにスタジアムのモニターでその場面を確認して、自分の修正点と、ディフェンスをどう動かしてあげたらよかったのか、確認するようにしています。「(得点が)入る時は入ってしまう」といい意味で割り切って、同じミスをしないことを最優先するようになりました。 ――それは大きな変化ですね。パリ五輪の4試合を通じて、4年後に向けて収穫は得られましたか? 山下:スペインは育成年代から若い選手がA代表に上がって経験を積んでいるので、その伸びしろを考えれば、日本も10代の谷川萌々子と古賀塔子が飛び級で一緒に戦ってくれたことは、これからのなでしこジャパンを考える上でも大きなことだと思います。 ――2人のように10代から海外でプレーする選手も増えてきましたが、代表選手が海外組中心になっていることについてはどう思いますか? 山下:海外の選手は対人能力や間合いが違うので、自分を強くするために、海外でプレーできるなら挑戦したほうがいいと思っています。これまで、国際大会では守備で相手を潰したいところで潰せないことも多かったですし、フィフティ ・フィフティのボールに対するデュエルの勝率やボールの回収率が低いので、個の守備能力や対人能力を上げていくことは必要です。そうすればもう少し失点が減るだろうし、前線からもっとプレッシャーにいける場面も増えてくると思います。 ――山下選手自身は、次回、2027年のワールドカップ、28年のロサンゼルス五輪に向けて、どのようなキャリアプランを描いていますか? 山下:マンチェスター・シティとの契約が3年で、次のワールドカップ直前で切れるので、そこまでは間違いなくサッカーをしていると思います。ただ、代表については自分がなでしこジャパンの新監督にどれだけ評価されるのか、新しい戦術に対して自分がどれだけフィットできるかが勝負だと思っています。