三菱の新型ピックアップトラックが楽しすぎる! 「トライトン」はファミリーカーとしても使えるか?【試乗レビュー】
もし他とは違うSUVが欲しければ、三菱の新型「トライトン」はいかがだろう。オフロードもオンロードも自在に乗りこなし、キャンプ道具もどっさり積める、いま話題のピックアップトラックに小川フミオが試乗した。 【写真】三菱の新型ピックアップ「トライトン」の詳細を見る!(全35枚)
なぜいまピックアップが人気に?
クルマのボーダーレス化などと言われて久しいが、たとえば北米と日本とではクルマ文化は大きく異なる。すぐ思い浮かぶのが“トラック文化”だ。米国ではSUVもトラックと呼ぶが、荷台つきのピックアップの市場の大きさは彼我でかなり差がある。 それでも、日本でも大きめサイズのピックアップって便利、だとか、力強いイメージでカッコいい、なんて思うひとも少なからずいるのは事実。トヨタが2017年に日本発売を開始した5代目「ハイラックス」もファンの心を掴んでいるようだ。 三菱自動車は2024年2月に「トライトン」という1トンピックアップを日本で発売した。全長5.3mのダブルクルーキャブ(後席空間も余裕をもたせた4ドアキャビン)で、エンジンは2.4リッター直列4気筒ディーゼル。このあたりは、ハイラックスとドンピシャのライバルである。 トライトンもハイラックスも、タイ工場製。人件費のこともあるが、アジアが大きな市場であり、「ミツビシモーターズ・タイランドの工場は1964年から操業しているので、クオリティもきっちり担保されています」と、三菱自のトライトン担当者は説明する。
病みつきになるほど楽しい!
実際トライトンは、オンロードでもオフロードでも、かなりいい走りを体験させてくれた。「ピックアップトラックは、生活を支える商用ユースとして使われる一方、レジャーユースとしての用途も増加しています」(トライトンの開発を担当した三菱自の商品戦略本部の増田義樹チーフプロダクトスペシャリスト)。 私が試乗したのは、山梨県は本栖湖周辺の一般道(オンロード)と、富士ヶ嶺オフロードというクロスカントリー型4WD(本格的性能をもった4WD)向けのオフロードコース。 「オフロード性能を喧伝する海外のSUVも増えてますが、このコースを走破するのは、なかなか大変だと思いますよ」。富士ヶ嶺オフロードで私の隣に座って、操作やライン取りを教えてくれた三菱自の開発テストドライバーはそう語る。 たしかに富士ヶ嶺オフロードは時々使われるが、どの場合もクロカン4WDの試乗のため。壁のような急勾配の荒れた道の先には、ゴロゴロと大きな岩が散らばる岩場の登りがあり、そこからキツいターンをして滑りやすい小石の道を下る、という具合だ。 トライトンの2439cc直列4気筒コモンレール式直噴ディーゼル(インタークーラー・ターボ装備)は、150kWの最高出力と470Nmの最大トルクを発揮。最大トルクは1500rpmから発生するので、力強さを感じるエンジンである。 加えて三菱自自慢の「スーパーセレクト4WD-Ⅱ」は、後輪駆動と4WDの切り替えをドライバーが選べるシステムで、オフロード用には「4H」(フルタイム4WD)、「4HLc」(センターデフがロック状態)それに「4LLc」(ローギアードでセンターデフロック)と、状況に合わせてダイヤルですぐに選択できる。 さらに加えて7つのドライブモードも備える。「ロック(岩)」「グラベル(小石)」「マッド(泥濘)」など、走る路面に応じてエンジントルクの出方などを変更できる。この細かい設定も三菱自の開発者の自慢だ。 富士ヶ嶺オフロードでは、ほぼ「4HLc」でいけてしまう。腕に自信があれば「4H」でもかなり走れる。大きなコブ(モーグル)のところでは、試しに「4LLc」を使ったところ、2輪ぐらい浮いているのに、大きな手で押されたようにあっという間に走破できてしまった。 この楽しさは病みつきになるし、もちろん、生活においては信頼感につながるはず。世界約150カ国で愛されてきた、というメーカーの言葉にも納得せざるを得ない。