「もう死んだ気で生きるとね、全部がありがたくて楽しいんです」――更年期のいまが成長期、大黒摩季の描く夢
恋愛はリハビリ中って感じです
2019年、離婚を報告。 互いに納得した協議離婚だった。 「一般の人ですから、迷惑をかけたくないという気持ちがありました。何としてでも、彼のこれからの人生を守りたかった。ある意味自己防衛かもしれないけど、いい女でいたいという気持ちもありましたね。さっぱりしたもので、一人暮らしって涼しいな、みたいな。またきたな、音楽三昧の日々、って感じです(笑)」 今はネコ6匹と暮らす。少女の頃のように、音楽に没頭している。 「主婦生活では、朝から家事をして、家族のいない日中に少しだけ自由な時間があって、すぐに夕飯の準備……その繰り返し。皆さんそうでしょう? 自由がほしいな、と思ったりね。でも今、自由の中にいると、あの時間のなさが恋しくなったりもする。わがままなもので(苦笑)。でも、あの時間があったから、この年齢で、私はボーカリストとして、一から挑むことができているんです。50代の手前で、歌の神様が舞い降りて、10代の頃の気持ちが舞い戻ってきた」 「放っておくと歌ばかり作ってしまう」というが、恋愛はどうだろうか。恋をするつもりは?と尋ねると、もちろん、と頷いた。 「現在、恋愛はリハビリ中って感じですね。ラブソングを書きたいから、もっとキュンキュンしないと、古きよき記憶にも限界があるし(笑)。ときめくと肌艶が良くなるから、化粧品代も減りますしね。心が乾いてるとお金もかかっちゃうから」 「もう一回くらい、メラメラしたいですね。そう思うと外国人がいいかも。日本人って、なんかメラメラする前に、自分から消してくるでしょ、男も女も。全部ツアーが終わったら、ヨーロッパを一人旅しようと思ってます。ポルトガルからスペインに入って……いい出会いがあるといいんですけど、だって本当にフリーだもん。旅先で終っちゃっても平気ですしね(笑)」 50代、今が一番楽しいと大黒は繰り返す。 「嫁家業も終わったし、ヒットメーカーとしての責任もある程度果たしたと思う。ツアーでお客さまに感謝の気持ちを伝えたら、生まれて初めて、自分を生きてみようと思う。子孫は残せないから、私の音楽の技術=“遺伝子”を若い世代に全部あげたい。歌手っていう手のかかる仕事を仕上げたら、若手の育成。次のステージに行きたいですね」