阪神藤浪と日ハム佑ちゃん。共に復活を目指す崖っぷちの2人の甲子園優勝投手は沖縄対決に何を見せて何を感じたのか?
阪神対日ハムの練習試合が9日、沖縄・宜野座の「かりゆしホテルズボールパーク宜野座」で行われ、阪神は藤浪晋太郎(25)、日本ハムは斎藤佑樹(31)という甲子園の優勝投手の競演が実現、今季復活にかける2人は、それぞれ2回を無失点に抑えた。対照的な投球スタイルだったが、新しいチャレンジというテーマは共通項。それぞれが復活に向かっている方向性が間違っていないことを示した。最速157キロをマークした藤浪には、カブスのダルビッシュ有(33)がツイッターで「毎試合3四球、8奪三振をノルマに」との珍エールも。2人の甲子園スターの復活ストーリーは2020年シーズンの注目ポイントだ。
藤浪は157キロをマーク
沖縄高速の宜野座ICの出口は渋滞していた。かりゆしホテルズボールパーク宜野座は超満員。外野席が開放され立見が出たスタンドから2つの場内アナウンスにざわめきと歓声、拍手が起きた。日ハムの先発、斎藤佑樹、阪神の先発、藤浪晋太郎。2人の甲子園優勝投手の競演が実現したのである。 斎藤は2006年夏の甲子園を制した早実の優勝投手。ハンカチ王子と騒がれ、決勝では駒大苫小牧のエース、田中将大と球史に残る投手戦を演じて延長15回を投げ切り引き分け再試合。翌日も佑ちゃんは、先発を志願し、最後の打者、マー君を三振に打ち取って13奪三振で頂点に立った。 藤浪は大阪桐蔭のエースとして2013年に春夏連覇。夏の甲子園では準決勝の明徳義塾戦、決勝の光星学院戦で連続完封し、決勝史上最速の153キロ、決勝最多タイの14奪三振をマークして、怪物、浪速のダルビッシュと呼ばれた。 だが、2人の甲子園の大スターは揃って今季はもう後がない崖っぷちのシーズンである。斎藤は昨年11試合に登板したが勝ち星がなく、藤浪も先発はわずか1試合でゼロ勝。「甲子園の優勝投手はプロで大成せず」のジンクスに飲みこまれる形になった。 共に復活にかけるキャンプの序盤に同じマウンドに立つことになるのも、どこか運命的。 ピッチングスタイルは対照的だったが、2人はまるで共鳴するかのように確かな可能性をファンにアピールした。 藤浪は先頭の松本に四球を与えたが崩れない。続く石井を147キロのストレートで押し込みセカンドゴロに打ち取ると、左打者の王に圧巻のピッチング。150キロ台のストレートで、2-2と追い込むと、最後は煙が出るようなストレートをインサイドへズバッ。王はピクリとも動けなかった。中継テレビのスピードガンは157キロを表示した。 解説の「ハンシン・レジェンド・テラー」の掛布雅之氏は「素晴らしい。この1球だけでも今日の収穫はあった」と絶賛。遠くアメリカの地からは、合同自主トレを行ったこともあるカブスのダルビッシュ有がツイッターで「藤浪くん157km/h! 俺はわかる。この時期のそのスピードの凄さを。おじさんは今147km/hが精一杯です」と発信した。 「しっかりと指にかかっている、いいボールだったと思う」 藤浪も納得の1球だった。