ノーベル化学賞の吉野彰氏が会見(全文3完)柔軟性と剛直性が必要
そのままずっと化学者を目指して今に至るのか
吉野:ていうことで、『ロウソクの科学』。小学校の3年生、4年生が読むのにちょうど適した非常に分かりやすい、ろうそくはなぜ燃えるんですか、なぜ炎は黄色いんですか、ろうそくの芯は何のためにあるんですかっていうことがね。そういうことで子供心に、そういう化学ってなんか面白そうだなっていうのがきっかけだったと思います。 読売新聞:そうすると、そのままずっと化学者を目指され続けて今に至られるということなんですか。 吉野:そうですね。少なくとも理系の何かをやりたいねと。子供ですから化学的な部分に関心がありますと当然、得意科目になっていきますよね。そうするとやっぱり、じゃあその道に進もうかなっていうのは、そこから続いてきたかと思います。 読売新聞:ありがとうございました。長くなってすいません。2点目がですね。 司会:読売新聞さん、ちょっとお待ちください。すみません。時間が近づいてきたので、これで最後の質問とさせてください。申し訳ありません。どうぞ。申し訳ありません。
素晴らしい研究を成功させることができたのはなぜか
読売新聞:申し訳ありません。恐縮ですけれども、最後に。入社当初は、研究成果がなかなか実用化されないっていう苦労もあったと思うんですけれども、ご自身の自己分析、性格を自己分析されてみて、ここまで素晴らしい研究を成功させることができたのはなぜか、ご自身の性格を自己分析されてなぜかっていうのをお聞かせいただけますでしょうか。 吉野:個人的には先ほど申し上げた、研究者にとって、いわゆる柔軟性と、いわゆる剛直性、執念深さですね。その2つが絶対に必要だと思います。もう1つのファクターは、やっぱりそういうものが本当に必要とされるような未来が来るかどうかなんですよね。いわゆる先読みっていうんでしょうかね。未来を読みながら研究を進めていく。間違いなくゴールがあるんだっていうことさえ確信が持てれば、あとは少々の苦労があっても必ずやり遂げれると思うんですよね。ですから、その2つがたぶん原動力になってるのではないのかなと思います。 読売新聞:ありがとうございました。 司会:ではこれで本日、会見終了ですが、最後に、先ほどリクエストいただきまして、LIBの、吉野さん、模型を。 吉野:おお。 司会:持っていただいて、皆さんの前で。 男性:前のほうに。 (完)【書き起こし】ノーベル化学賞の吉野彰氏が会見