トマトを食べるなら「朝」が正解!? いま注目の「時間栄養学」を医師が解説
「体にいいものを食べているのに、効果が出ない……」それはもしかすると、食事の内容ではなく、食べる時間帯が間違っていたからかもしれません。今回は、時間栄栄養学の権威である大塚邦明医学博士による著書『大切なのは「いつ食べるか」でした。』(三笠書房)から、効果的な食事タイミングについて少しだけお届けします。 ◇ ◇ ◇
食事のタイミングで、「栄養の吸収」が変わる!
近年、「体内時計」の研究が進み、「時間」を考慮した栄養学の必要性が提唱されるようになりました。「何を食べるのが健康によいか」ではなく、「いつ食べるのが健康によいか」が注目され調べられるようになったのです。 たとえば、血糖を下げるホルモンのインスリンの効果は、朝・昼・夜の順に大きいので、朝食はたくさん食べても、夕食に比較して血糖が上がりにくい(すなわち、糖尿病になりにくい)ということがわかっています。 また、魚の脂(フィッシュオイル)は、朝にとるほうが夜にとるよりも中性脂肪を下げる効果が大きく、脂肪肝を改善する力が強いことがわかっています。 体内時計のリズムに合った食べ方こそ、健康原点であると考えられ、「時間栄養学」と呼ばれています。
朝の「トマト」は高血圧を予防する!?
トマトの赤い色素の「リコピン」には、血管をしなやかに若々しく保ち老化を防ぐという強力な働きがあって、血圧も下げてくれるということはよく知られるようになりました。そして、リコピンは朝に最も効率よく吸収されることがわかっています。 では、高血圧にならないためにはどれくらいのトマトを食べることが必要なのでしょう。 タイのマヒドル大学のメタ解析調査によれば、10~15mgのリコピンを含むトマトジュースを飲んでいると、8週間で上の血圧は6mm 低下し、5年後には高血圧になる危険性が40%にまで減少するそうです。それではどれくらいの量をどれくらい長く食べれば十分な効果が得られるのでしょう。中国の楊教授グループの18年間の追跡調査では、高血圧になる頻度が最も少なかったトマトの量は1日当たりわずか10~13gでした。 朝のトマトの効用は高血圧に限らず、糖尿病や脳梗塞、心筋梗塞などの予防効果も期待されます。少量のトマトを朝食の定番にということですね。リコピンはトマト以外にもニンジンやスイカにも含まれています。