【高校サッカー選手権】後半に長崎総科大附が一挙4得点 創成館を下し2連覇達成
2年連続9度目の選手権出場を目指し、初戦から実力を発揮して勝ち上がってきた長崎総科大附。故障者が多く県新人戦・県高総体ともに早期敗退し目の前の一戦一戦を着実に勝ち抜けてきた創成館。対照的な2チームが冬の大舞台出場をかけて、11月17日に諫早市のトランスコスモススタジアム長崎で激突した。 【フォトギャラリー】長崎総科大附vs 創成館 曇天に時折、陽が差し込む中始まった一戦は、互いに相手陣内でゲームを進めようと長いボールの応酬でスタート。10分過ぎまでボールが行き来する中、先にペースをつかんだのは競り合いで優位に立つ長崎総科大附だが、エースナンバー8を背負う田原昊仁郎が攻守で存在感をする創成館もカウンターで反撃。 宇土尊琉を起点にゲームを作り、髙橋駿介のロングスローも織り交ぜながら攻める長崎総科大附は、24分に坂本錠が創成館のパスミスを奪ったボールからシュートを放つも、ここは創成館のGK阿部巧翔が好セーブ。逆に33分、創成館もカウンターからが強烈なシュートを放つが、これはマガリェンスアルナウドがファインセーブ。互いに譲らぬゲームは一進一退のまま0-0で前半を終了する。 前半の固い戦いぶりから1点を争うと思われたゲームが動いたのは後半開始直後。FKからゴール前の混戦に持ち込んだ長崎総科大附は、後半2分に「自分の前で味方が頑張って競ってくれたので、あとは決めるだけだった」という松下昊稀がシュートを押し込み先制に成功。 思わぬ失点に創成館が動揺した隙を逃さず、その1分後は寺井海人が強烈なミドルシュートで追加点。瞬く間に2点差とし優位に立つ長崎総科大附に対し、早いボールに活路を見出したい創成館だが、長崎総科大附の厚い守備の前にシュートまで持ち込めず。 その後も状況の打開を狙い交代策で揺さぶりをかけようする創成館に対し、落ち着いた守りを見せた長崎総科大附は、縦へのボールの運びから66分に松下、70分にも坂本錠が追加点を奪い4点差。そのまま試合を終了した長崎総科大附が2年連続で選手権出場を勝ち取った。 前半の手堅い戦いから一転、後半に長崎総科大附が一挙4得点を奪い大勝で勝利した。試合後、長崎総科大附の定方敏和監督が「(後半の立ち上がりに)2点取れたのが大きかった。立ち上がり5~10分が勝負だと思っていた」と語ったとおり、後半の2点奪取で一気にペースを奪ったことが勝負を大きく決定付けた。 創成館は序盤は粘り強い守備とサイドを広く使った攻撃でチャンスを作ることもあったが、2失点したことで前がかりになるしかなく、個で勝る長崎総科大附の選手たちにスペースを与え、さらなる失点を招いてしまった。接戦に持ち込んで粘り勝ちしたかった創成館にとって2点のビハインドは余りに厳しかった。 一方、大勝した定方監督は「ここまで来たら負けるわけにはいかないが、選手権なんて一生一度の経験だから楽しめなければ勿体ない。失敗しても全力で楽しめばいい。結果はあと。結果だけ考えて中途半端になるのが一番良くない。まず結果ではなく。まず戦うこと」と語り、喜びに湧く選手たちの緊張感を楽しむ姿勢を讃えた。 長崎総科大附はこれで2年連続10度目の選手権出場。「小嶺先生が作った伝統なので閉ざすわけにはいかない」と語る定方総附が、今年初めて迎える全国の大舞台をいかに楽しむか。本大会で注目したい。 (文・写真=藤原裕久)