北欧の教育「フォルケホイスコーレ」が話題。人と社会、自然とのつながりを取り戻す大人の学び舎「School for Life Compath」 北海道東川町
「3日目の夕食のとき、ゆりちゃんが同じテーブルのメンバーの良いところを1人ずつ話してくれたんです。そのとき、自分を認めてもらえる喜びや安心感と共に、その時自分の中で感じていた劣等感のようなしんどさがあふれ出てきて、堪えきれなくなって泣いてしまって」(えりーさん) えりーさんによると、所属している組織で生まれる交友関係はあるが、長年知っている間柄だからこそ、自分の心の内側を語ることはほとんどないという。 また、あんさんの父のように会社以外の人との接点がなかなか生まれにくい状況もあり、なんの利害関係もない人間関係がつくれる機会は少ないそうだ。
東川には「いい顔をしている大人が多い」
Compath は、こうした参加者同士のつながりを生み出すとともに、東川で活動する人々とのつながりもつくっている。 木こりや家具作家、デザイナー、カメラマンなど東川には文化の担い手がたくさんおり、そうした人々のワークショップや、彼らとの対話の機会を各コースで設けている。また参加者自らが街に出かけることでもさまざまな出会いが生まれている。 「参加者の一人が『東川にはいい顔をしている大人が多い』と語っていて、本当にそうだなと。温かな人がとても多いと思いました」(あんさん) 「木こりの清水さんをはじめ、生き生きと自分の想いを話されている方に出会うことができました。周りからどう見えるかよりも、自分がこうしたいという想いから決断している姿がとても印象的でした」(あおとさん)
東川という自然を身近に感じられるロケーションも参加者の心に何かしらの作用をもたらしているだろう。コースのテーマであった自分が本来持っている野性を取り戻すという感覚を、確かに感じた参加者も少なくない。 「交通の便がいいところに住みたいと思っていたけれど、東川は鉄道が通っていないからこそ、ゆったり景色を見られる豊かさを感じましたし、すごく満たされている自分がいました。外食しなくてもみんなで料理を楽しめばいいし、便利じゃなくちゃ住めないという感覚が解けたように思います」(えりーさん)
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