北欧の教育「フォルケホイスコーレ」が話題。人と社会、自然とのつながりを取り戻す大人の学び舎「School for Life Compath」 北海道東川町
北海道の自然に触れ、自分自身の野性を取り戻すワークショップ
取材した日に行われていたのは、8月のショートコースでテーマは「Sense of Wonder ―てのひらに野性を―」。 参加者は8月11日から滞在をはじめており、7日目のプログラムである「野性を取り戻す森の冒険」が校舎から車で30分ほどの旭川市の森で実施された。
フィールドとなったのは、木こりの清水省吾さんが所有する山で東京ドーム1個分の広さ。 環境保全型の林業を目指す清水さんは、大型重機を使わずにチェンソーと軽トラック、人力で山から木を運び出しているという。所有する山で木を切るのは年に2本ほど。木工作家から依頼があれば、一緒に山に入って、どの木を切るのかをとことん話し合っているそうだ。 また、里山部という名の活動では環境教育ガイドやチェーンソー講習会、森での遊びの提供など、自然と人との関わりについて改めて考える機会をつくっている。
今回、ショートコースに参加した15名は、清水さんの山に入り、さまざまな体験を行った。 シラカバの皮をはぎ、火を起こしたり松明(たいまつ)をつくったり。 木に吊るしたハンモックで休むもよし、樹齢80年の木にかかっているロープを登ってはるか遠くの景色を見るのもよし。 清水さんが釣ってきたヤマメとイワナを焚き火で焼いてランチ。 また、清水さんとともに森の案内を務めた木育マイスターの中野百合華さんによる木をつかったアクセサリーづくりのワークショップも行われた。 こうした体験の一つ一つに歓声をあげる参加者たち。ショートコースで出会って間もない間柄とは思えないくらい、和気あいあいと共同作業を行っていた。
「松明の煙は虫除けになる」と清水さん。松明を持って森に分け入る参加者。
このショートコースのプログラムを企画したのは、Compathのメンバーであり京都から移住した編集者の畠田大詩さんとデンマークのフォルケホイスコーレで学んだことのある外村祐理子さん。 共同代表の二人から「Sense of Wonder」というテーマでコースを企画してほしいという依頼を受けて、授業の内容を中心に、学びをデザインしたそうだ。 「夏の北海道で自然に触れることを考えたとき、自分の中にある野性的なものを取り戻すきっかけになったらいいなと思いました。そこで木こりの清水さんにメインのワークショップをやっていただき、さらに感情があふれてくるようなワークショップとして、タイ料理や打楽器のワークショップも用意しました」(畠田さん)
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