銚子でイルカウォッチングと雄大な太平洋の眺めに心躍る
関東平野の最東端、千葉県銚子市の沖合は、北から流れる親潮と南からの黒潮がぶつかる、全国でも有数の漁場として知られている。銚子漁港は、サバ、マイワシなどを中心に、国内で1、2位を争う水揚げ量を誇る。こうした魚を目当てに集まってくるのは漁業者だけでない。イルカやクジラの仲間は世界に約90種いると言われるが、そのうち24種が銚子近海で観測されている。知る人ぞ知る「クジラ・イルカ天国」でもあるのだ。 私はこれまでに沖縄県の海洋博公園や石川県ののとじまなど、各地の水族館でイルカショーを見てきたが、野生のイルカも一度は見てみたい。期待を胸に、銚子へ向かった。 銚子マリーナにほど近い銚子海洋研究所では、1年を通じて、40人乗りの船「フリッパー号」を使ったイルカやクジラウォッチングのツアーを行っている。代表の宮内幸雄さんは「春は北太平洋から出産や育児で銚子沖にやって来るカマイルカが見どころ。数百頭の大きな群れをつくって、水面をバンバン飛ぶ姿は圧巻で、船に近づいてきて並走することもある。沿岸にいる小型のスナメリは、あまりジャンプはしませんが、クルリとした目に注目してください」と話す。 【写真】外川港でおすすめのお店「膳 はなれ」(完全予約制)のいわしおまかせ御膳2800円
今回は沿岸コースを申し込んだが、「先ほどカマイルカの群れを見たという連絡が漁業者から入りました。目撃情報があったポイントまで行ってみませんか」と提案された。イルカの群れを見られるならばと、乗船客全員が賛成した。 ところが、この日はあいにくの雨模様。30分ほど船を走らせて沖に出たが、イルカは1頭も姿を現さない。時折見えるのは、海鳥と沖合を航行するタンカーだけ。それなら沿岸の スナメリを見ようと方針を切り替え、港近くに戻ったが、こちらも1頭も見られず。雨脚は強まり、結局イルカの姿は見られないまま、時間切れとなってしまった。漁業者からの情報や過去のデータなどから予測し、沖合コースなら8割、沿岸コースなら9割の確率でイルカを見られると言うが、どうやら我々は運に恵まれなかったようだ。