なぜ元日本代表の松井大輔はフットサル転身を決意したのか…“キング”カズにも相談…その答えは?
不惑を前にしての海外再挑戦で日本サッカー界を驚かせた稀代のテクニシャンが、今度は不惑を過ぎてのフットサル電撃転向で前例のない挑戦をスタートさせた。 ベトナムのサイゴンFCを退団し、フットサルFリーグ1部のY.S.C.C.横浜とプロ契約を結んだ元日本代表MF松井大輔(40)が14日、横浜市内で入団会見に臨んだ。 松井は昨年末に横浜FCからサイゴンへ移籍したが、新型コロナウイルス禍で今シーズンが中止となり、今後も不透明な状況が続くなかで横浜からのオファーを受諾。調整が順調に進めばリーグ戦が再開される来月8日の湘南ベルマーレ戦(横浜武道館)で、サッカー界を離れた日本代表経験者として初めてFリーグ公式戦のコートに立つ。
40歳となり引退も選択肢のひとつだった
黒で統一されたスーツにネクタイ。ダンディーな雰囲気を漂わせながら、いつもは練習場所となるコートに設けられたひな壇に姿を現した松井へ、オフィシャルパートナーの牛丼チェーン店、吉野家のロゴが胸に入ったユニフォームが手渡された。 背番号こそフランスのル・マンや日本のジュビロ磐田、そして横浜FCなどでトレードマークとしてきた「22」で変わらない。それでも芝生のピッチではなく室内のコートの上で待つ新たな勝負が、百戦錬磨の経験を誇るベテランを高ぶらせた。 「いまからいろいろな挑戦が始まると思うと、自分でもワクワクしてきます。子どものころに戻ったような楽しさをコートの上で表現できるんじゃないかと思っているし、ぜひそれを見ていただけたら嬉しいですね」 わずか1ヵ月前の松井は逡巡していた。今年から戦いの場を求めたベトナムリーグが、感染拡大が続く新型コロナウイルス禍で5月上旬から中断。当初の再開目標だった7月下旬になっても、サッカー界を取り巻く状況はまったく変わらなかった。 松井の脳裏に浮かんだ選択肢は3つ。ベトナムの地で契約をまっとうするのか。オファーをもらっていた日本へ復帰するのか。それとも、現役に幕を降ろすのか。ただ、最後の「引退」に考えをめぐらせたときに、自問自答を繰り返す自分がいた。 「ベトナムでプロ生活を終えてもいいのかと。自分には何が合っているのか、何がしたいのかを考えると、もっとチャレンジしたい、もっとサッカーを楽しみたいとなって」 それでも、ベトナムで状況が変わるのを待つのは現実的ではなかった。昨年末からの生活で、松井をして「日本と違って、物事が計画的に進まなかったりする」と苦笑させたお国柄もあって、翌日の練習の詳細がわからないときも少なくなかった。