なぜ元日本代表の松井大輔はフットサル転身を決意したのか…“キング”カズにも相談…その答えは?
身体作りだけではない。ピッチよりもコートがはるかに小さいフットサルは使用されるボールも小さく、4秒ルールや5ファールなど、サッカーにはない特有のルールにも順応しなければいけない。 その上で新たな仲間たちとコンビネーションを築き上げた先に待つ光景を、自らの得意技と照らし合わせながら松井は見つめる。 「練習を見ていても1対1が多かったりするので、そういうプレーをもう一度というか。ドリブルの楽しさを含めて、見ている人が面白いと感じるプレーができれば」 リトアニアでワールドカップが開催されている関係で中断されている今シーズンのリーグ戦は、10月8日に再開されて来年1月16日に最終節を迎える。フットサルへの適応などもあり、契約は現時点で今シーズン終了までとなっているが、横浜が初優勝を目標にすえる2022-23シーズンも当然ながら視野に入れている。 「ベトナムで終えるかもしれなかった現役が、こうしてまた戻ってきた。人生には何があるのか、どのようになるのかはわからないし、メジャーリーグの大谷選手みたいな二刀流になる可能性もあるかもしれない。それは自分にもわかりません」 横浜はサッカーのトップチームをJ3リーグにも参戦させているだけに、シーズンが重ならない状況を利用して、Jリーグのピッチにも戻る可能性にも松井は言及した。もちろんいま現在は、“Fリーガー”としての松井にすべてを集中させる。 横浜でプロ契約を結んでいる選手は松井と、同じ日に加入会見に臨んだミャンマー代表のゴールキーパーで、政情不安が続く母国への帰国を拒否して難民認定を申請し、8月に日本政府から承認されたピエ・リアン・アウン(25)の2人だけ。他は全員が別の仕事に就いているため、日々の練習は原則として午前6時から8時までに行われている。 「練習後の時間を有効なことに、たとえば指導者(の勉強)ができたりするかもしれないし、違う道、違う挑戦をさせてもらえる環境に自分としてはすごく感謝しています」 何が待っているかわからないからこそ、わくわくしてくる。感謝の思いをモチベーションに変えながら、前方に誰の背中も見えない道を松井は突っ走りはじめた。 (文責・藤江直人/スポーツライター)