PSV残留の堂安律が今季初出場で決めた戦慄のスーパーゴールに込めた思いとは…「ようやくチームの役に立てた」
オランダのサッカーファンへ衝撃を与え、さまざまなメディアから称賛され続けているスーパーゴールが、今シーズンの巻き返しを予感させる。 日本時間12日未明に行われたオランダ・エールディヴィジ第4節で、PSVアイントホーフェンの日本代表MF堂安律(23)が今シーズン初ゴールを決めた。 敵地で行われたAZ戦の後半10分から今シーズンの公式戦初出場を果たした堂安は、2点をリードして迎えた同38分に右サイドをドリブルで駆け上がり、ペナルティーエリアの手前で中央へカットイン。直後に利き足の左足を振り抜き、美しい弧を描いたミドルシュートをゴール左隅へ突き刺して3-0の快勝に貢献した。 独ブンデスリーガ1部のアルミニア・ビーレフェルトへ期限付き移籍した昨シーズンに続き、今夏にも移籍を望みながら叶わなかった堂安は、2シーズンぶりにプレーする名門PSVで残す爪痕を、アジア最終予選を戦う森保ジャパンへつなげていく。
ここまで5試合はピッチに立てず
雄叫びをあげるゴール直後の写真とともに、自身のインスタグラム(@doanritsu)へ投稿された英文に、いま現在の堂安が抱く偽らざる思いが凝縮されていた。 <Finally I could help the team(ようやくチームの役に立てた)> 金メダルを目標に掲げてきた東京五輪を無念の4位で終え、募らせた悔しさを前へ進む力に変えて戻ったはずのオランダで公式戦に絡めない状況を余儀なくされた。 8月14日に開幕したエールディヴィジの第3節までと、ベンフィカ(ポルトガル)に2戦合計1-2で敗れたUEFAチャンピオンズリーグのプレーオフの計5試合で、一度もピッチに立てないままアジア最終予選を戦うために帰国した。 7月上旬からスタートした事前キャンプを含めて、東京五輪を戦っている間に今シーズンを戦うPSVの序列もほぼ固まっていた。ヘラクレス・アルメロとの開幕戦当日にPSVへ合流した堂安は、日本代表に合流するまでの日々をこう振り返った。 「すぐに何かを変えられるようなトレーニングや、時間があったわけではなかった。アジア最終予選があるので、早めにマインドセットも変えなければいけなかった。なので、自分のコンディションを上げることにフォーカスしてきた」 エールディヴィジで開幕3連勝をマークし、合計で11ゴールをあげるPSVの攻撃陣に割り込めない理由はピッチの外にもあった。昨シーズンに続いて移籍を希望していた状況下で、堂安が帰国している間に夏の移籍市場は8月31日にクローズされた。 マインツやホッフェンハイム、アウグスブルクのブンデスリーガ勢が関心を示しながらも、2024年夏まで契約を結ぶPSVでプレーすることが決まった堂安は、代表活動の一環として臨んだオンラインの囲み取材でこんな言葉を残している。 「行きたかったところもありましたけど、もうしゃあないので」 PSVはエールディヴィジで歴代2位の優勝21回を誇る。アヤックス、フェイエノールトと三強を形成する名門から、堂安はなぜ移籍を希望し続けるのか。答えはフローニンゲンからオランダ国内でステップアップを果たした2019-20シーズンに行き着く。 「周りにスーパーな選手が多い分、自分が1対1で仕掛けるのをやめて、味方へのパスを選択する場面が多くなっていった。少しずつですけど、プレースタイルが自分らしくないというか、ネガティブなものになっていったと感じていました」 19試合でわずか2ゴールに終わったPSVでの1年目をこう振り返る堂安は昨年9月、たっての希望でビーレフェルトへ期限付き移籍して周囲を驚かせた。