《深圳児童殺害事件の背景》中国版“無敵の人”の無差別犯罪「献忠」続発の深い闇
「無敵の人」が生まれやすい中国
近年、中国のネット上では「無敵之人」というスラングも登場している。もともと、日本で2008年の秋葉原無差別殺傷事件が起きた際に、犯人の加藤智大のように社会的信用が低く逮捕リスクがない人物を指して、ひろゆき(西村博之)が使いはじめた「無敵の人」という言葉が、中国に輸入されている形だ。 中国では報道や言論が統制されているため、日本と比較すると模倣犯が起きにくい環境のはずだが、中国の社会環境は日本以上に「無敵之人」を生み出しやすい。加えて、外国人はそうした人たちの投げやりな行動のターゲットに比較的選ばれやすく、今年に入ってからはオーストラリアやスイスなど海外で「献忠」的な事件が起きた例もある。 もちろん、こうした事件を起こす人はごくひとにぎりにすぎない。ただ、中国の新たなリスクとして、日本人も認識しておいたほうがいいことは確かだろう。 ◆◆◆ 本記事の著者の安田峰俊氏の新著、『 中国ぎらいのための中国史 』(PHP新書)は刊行即増刷で好評発売中です。
安田 峰俊