いま東京カフェのトレンドは「没入」――アートと建築にどっぷり浸れる2軒
自分の好きなもの、好きな世界観にどっぷりと浸れるカフェが人気だ。アートギャラリーを併設するベーカリー&カフェ「Gallery & Bakery Tokyo 8分」(中央区京橋)や、新将棋会館内にあって、佐藤康光九段監修のコーヒーが飲める「棋の音カフェ」(渋谷区千駄ケ谷)はその代表格だ。 2024年で11冊目となるムック「東京カフェ(アサヒオリジナル)」は、14年から毎年、星の数ほどある東京のカフェから200軒ほどを厳選。ユニークな視点で紹介している。発売されたばかりの2025年版では「ハマりたい没入カフェ」として、アートや音楽、建築からグリーン、そして韓国まで、それぞれの世界に浸れるカフェを特集している。 ムックの発売を記念して、その道のプロが勧める「アート」と「建築」のカフェを、本から引用する形で紹介したい。 ■アートな街にたたずむ WHAT CAFE 艸谷(くさたに)真由さんは、アートスポットメディア「ART TRAVELER」を立ち上げた、株式会社gramsのCEO。買い物や映えカフェめぐりが大好きだったものの、より深い趣味を追求した結果、アートめぐりに辿り着いたという。 “アートを買う体験”にも興味を惹かれ、ファーストアート探しをスタート。全国200カ所以上の施設を2年以上かけてまわり、一目ぼれした作品、奥田雄太さんの「Abstract Single Flower」に出合った場所が、アートの街・天王洲の「WHAT CAFE(ワット カフェ)」だった。 「WHAT CAFE」は、アート事業を展開する「寺田倉庫」が運営するギャラリー融合カフェ。「ここは手頃な価格帯の作品が多いので、私のようにファーストアートを探している人にはぴったりの場所かもしれません」と艸谷さんは話す。 約800平方メートルものゆとりある空間で現代アートを展示するこの場所には、定期的に訪れているが、複数の作家の作品を一度に見ることができるので、いつ来ても新鮮。常時、若手アーティストを中心とした合同展示を開催していて、年に10回ほどは展示内容が入れ替わる。バラエティ豊かな作品がセレクトされるので、必ず好みの作風に出合えるという。