フットボールと歩んできた100年──「UMBRO(アンブロ)」の変わらない伝統と革新的な機能性をひもとく
フットボールと歩んできた100年──「UMBRO(アンブロ)」の変わらない伝統と革新的な機能性をひもとく
フットボールを楽しむ人たちが、こよなく愛しているスポーツブランドがある。その特徴的なブランドのロゴは、ひし形が2つ重ねられたもので、ユニフォームやエナメルバッグに刻印されているのを幾度となく目にしたことがあるだろう。 そう。それはイギリスで100年もの歴史を持つフットボールブランド「UMBRO(アンブロ)」で、他のスポーツブランドの追随を許さぬ唯一の地位を確立している。 なぜ、これほどまで愛されるブランドに「UMBRO」は成長できたのだろうか。おそらくそこには卓越したブランドストーリーに加え、商品への熱い思いが込められているからに違いない。そこで今回、デサントジャパン株式会社の企画担当である松井徹さんと島村隆宏さんにお話を伺った。
始まりは手押し車の配達から
ー最初にブランドの成り立ちを教えてください。 島村: 「UMBRO」の由来ですが、創業者ハンフリーズ兄弟(Humphreys Brothers)の名前から取られました。1924年に、弟のハロルドさんがスポーツウエア会社での勤務経験を生かして、お兄さんと一緒にマンチェスターで起業をしています。 当時は、ご両親が働いている地元のパブで手押し車を使って販売を始めたとのことです。フットボールに限らず、多様なスポーツウエアを扱っていたようですが、地元イングランドに名門チームがあったこともあり、次第にフットボールウエアへと傾倒していきました。
ー土地柄、ベースボールよりもフットボールのほうが人気なのですね。 島村: 日本でも有名なマンチェスター・ユナイテッドやマンチェスター・シティといった強豪チームもあり、イングランドの中でもフットボールの人気が高かったと思います。 また資料によると、ブランド誕生の1年前に8万5千人が収容できるウェンブリー・スタジアムができたこともあり、マンチェスターでのフットボールビジネスを大きく発展させるきっかけになりました
ー1934年のFAカップ決勝でユニフォームを提供したと聞きました。 島村: 決勝でユニフォームを提供した経緯については、残念ながら詳細な資料は残っていません。ですが、ここまで事業を大きくできたのは、今で言うQR(クイック・レスポンス)生産体制を確立させたことにあります。 注文を受けてから48時間以内に納品が可能になり、オリジナルウエアを素早く提供できるようになったことが、多くのサッカーチームのニーズにマッチしたようです。