フットボールと歩んできた100年──「UMBRO(アンブロ)」の変わらない伝統と革新的な機能性をひもとく
ー生産技術の革新以外にも、アンブロの名が広まったきっかけはありますか。 島村: 1958年にブラジル代表チームがアンブロのユニフォームを着用していたのは、一つの象徴的な出来事だと思います。この50年代から60年代には、強豪チームが次々とアンブロのウエアを採用していたこともあり、多くの人の目に留まるようになりました。 また、1996年にイギリスのロックバンドがマンチェスターでライブを行った際、アンブロのドリルトップを着用したことで、これも象徴的なアイテムになりました。
伝統と革新が入り交じるスポーツウエアづくり
ースポーツウエアの開発において、大切にしている点を教えてください。 島村: アンブロはイギリス発祥のブランドですが、日本では弊社デサントが商標使用権を持っています。そのため、日本のアンブロの商品は日本独自企画のものになっています。 本国のアンブロのイメージを大切にしながらも力を入れているのは、「着心地」です。素材メーカーさんと一緒にプロサッカー選手の動きを解析して、試合中の動作に最適なパターンの研究を行ってきました。 特に現場の選手の声は大事にしていますので、アンブロの商品を提供しているチームからのヒアリングや展示会でのお客様の声などを開発に反映させています。
ーヒアリングによって、具体的にどういった点が改善されましたか。 島村: ゲームパンツですと、選手は試合中汗を大量にかくので、太ももに張り付いてしまうという課題がありました。そこで、もも上げがしやすいように「スリップパネル」という、パンツの裾の切り返しの幅を広く取るパターンを採用させていただきました。 こちらをプロのサッカーチームのユニフォームに取り入れ、その後一般販売用のウエアにも落とし込んでいます。
ー素材面でのこだわりはいかがでしょうか。 島村: 機能性で言えば、太陽光を遮断することで、通常の生地よりもマイナス3度のクーリング効果が得られる独自開発素材を採用しています。 日本は高温多湿で、夏は非常に暑く、また選手が活動するフィールドも非常に高温になりますので、いかに快適さを得られるかを考えて開発しました。