「よい教育が、押しつけられてできるのか」…自由でのびのびした小学校は、外部通報を機に管理教育へ舵を切った 学習指導要領に少しでも沿わない独自授業は「不適切」なのか
保護者の多くもこうした教育方針に理解を示し「自分の意見をしっかり言える子どもが多い」と評価している。 ▽懲罰人事 大学側が調査の結果、明らかにしたのは以下のような内容だ。 ・付属小の教員らは、職員会議を「最高議決機関」と位置付け、校長の権限を奪っていた。 ・教員の考えが優先され、指導要領を守る姿勢が欠けていた。 他の市立校などと異なり、独自に採用した教員らで構成される付属小は、異動がほとんどない。大学側はこうした教員の固定化が問題を招いた一因だとして、他校へ出向させる案を打ち出した。 突然の知らせに、教員らでつくる組合側は反発。「事実上の懲罰人事だ」と、撤回を求めた。 組合によると、大学側は初め、数年をかけて全ての教員を出向させる考えを提示した。交渉を重ね、今春の対象は4人だけに落ち着いたが、4人はいずれも同意していなかったという。 ▽平和学習 出向を含む今春の人事異動により、学校全体の教員数は昨年度より2人減ることに。大学は3月に保護者説明会を開き、従来の指導や学校行事が縮小する場合があると伝えた。出席した保護者によると「なぜ減員が生じるのに出向を取りやめないのか」との声が相次いだという。
学校側が規模縮小の可能性があるとした行事の一つは、平和学習を軸とした修学旅行だった。 平和学習に力を入れる付属小では、1年生の時から学びを重ね、集大成として修学旅行で広島を訪れる。6年生はそこで感じたことを下の学年に発表し、学びを循環させてきた。 実際の縮小規模は決まっていないが、不安を感じている児童は多いという。 ▽「通級」 また、学習障害(LD)などがある児童に対し、通常学級とは別に学習の機会を設ける「通級」の制度も、スムーズに開始できるか不透明になった。 4月から子どもが「通級」指導を受けられるよう、学校側と調整を重ねてきたという保護者が証言してくれた。 「学校の体制が変わったことで、開始の時期が見込めなくなってしまった」 この児童の特性を把握し、学びやすい環境を考えてくれていた教員も、出向となった。 「慣れ親しんだ教員が入れ替わったり、減ったりすることで、子どもへのしわ寄せが心配。問題の改善策として一定の人事異動は理解はできるが、一番大切なのは子どもたちが平等に教育を受ける権利を守ることではないか」 ▽学習指導要領