通天閣「今は耐え忍ぶ」前年度入場者80%減も「明けない夜はない」の言葉信じ営業再開
取引先救済のアイデアで始めた土産救済セール
しかし、休んでばかりはいられないと様々なアイデアで一部の営業を続けた。 取引先の菓子販売業者から「各観光地の土産菓子が大量に返品され、廃棄しようにもお金がかかり困っている」という声を聞くと「その菓子をうちの売り場で半額で売ってみたら」と提案。 この取り組みはたちまち多くのメディアでも取り上げられ、現在では通天閣のネットショップ「BASE」も立ち上げ、コロナ禍で行き場を失ってしまった全国のお土産、定番のお菓子や食品を超セール価格で販売。同時に食品ロス削減に一役買っている。 「ネットショップは全国各地から注文をいただいてるんですが、注文と同時に『がんばって』『ありがとう』とメッセージもいただき、本当にありがたい話です」と高井社長。 展望台の休業期間中も、通天閣地下入り口のスペースでこれらの菓子販売も継続し、地元の人たちも気軽に買いにきてくれるなどし、ここまでやってこられたという。
営業再開を急がなかった理由とは?
4月25日から緊急事態宣言発令により臨時休業となり今月1日の宣言が延長された際、大阪府が百貨店などの大型商業施設やテーマパークなどへの休業要請を土・日限定にするなど一部緩和した。 しかし、高井社長は休業継続を選択した。観光施設にとって土・日は休みとなると収益的に厳しい上、平日は人の足が少ない。高井社長は「コロナ禍をどう長く生き延びることができるかということを考え、休業を選びました」と振り返った。
できる限りの感染対策で客を来場者を迎える
20日で緊急事態宣言が解除された後も、すぐには営業再開を行わなかった。昨年も宣言解除に向け動いたら「再延長」が決まりあわてたことがあったため、今回は状況を見極め、正しく確実な情報を知らせるため26日の再開に決めたという。 その分、感染対策はさらに強化した。換気対策はもちろん、大型のサーモセンサーを入り口に設置したほか、非接触で多くの人に使ってもらおうと大量の自動アルコールディスペンサーを各所に設置。 高い感染力が指摘される新型コロナウイルスの「デルタ株」を考え、待機列のメートル数も変更するなど、25日も社員らと細かく感染対策について話し合っていた。