通天閣「今は耐え忍ぶ」前年度入場者80%減も「明けない夜はない」の言葉信じ営業再開
通天閣「今は耐え忍ぶ」前年度入場者80%減も「明けない夜はない」の言葉信じ営業再開
大阪を代表する観光スポットのひとつ「通天閣」(大阪市浪速区)が26日、約2か月ぶりに営業を再開した。通天閣は大阪モデルの点灯協力などを行いメディアでも多く取り上げられ注目されたが、昨年度の入場者数は前年比80%減というこれまでにない厳しい現実に直面した。しかし、社長をはじめスタッフ20人は「明けない夜はない」という言葉を信じ、ビリケンさんに日々願いながら「マスクの下は笑顔」で観光客を迎える。 【拡大写真】26日からの営業再開に向け、社員らはビリケンさんきれいにおそうじ(2021年6月25日夕)
2007年から2019年度まで年間100万人以上の入場者を誇った
通天閣を運営する通天閣観光によると、入場者数は2007年から2019年度まで年間100万人以上をキープしてきた。しかし、2020年度は緊急事態宣言による臨時休業などの影響で、21万8422人と前年比から約80%減という厳しい結果となった。 「10年以上、年間入場者数100万人を維持してきましたが、昨年度は約21万人にまで落ちてしまいました。売り上げも比例してほぼ5分の1になりました」と語るのは、通天閣観光の高井隆光社長。コロナ禍の前にはインバウンド効果で外国人観光客の数も100万人超えの大きな原動力で、高井社長も昨年の取材で「インバウンドに頼っていたところもありますね」と答えていたのを思い出す。
80人いたスタッフも、現在は20人に削減
通常なら少なくとも1日3000人いた入場者数は昨年4月、緊急事態宣言発令直前には1日30人となった日も。同日夜に事務所に社員を集め、涙ながらに臨時休業を伝えたのも記憶に新しい。 現在、多い時にはアルバイトを含め80人いたスタッフも、現在は20人に削減し最小限で運営している。 「社員のみなさんも以前は毎日出勤していたのに、休業期間中は週1回に。雇用対策助成金をいただきながら、細々と経営している状況です」(高井社長) 大阪府からは、吉村洋文知事のシンボリックな場所で大阪モデルの色分け周知を行いたいという熱烈な要望を受け、24時間無償での点灯協力も行った。メディアの注目を浴びたが、その裏ではこのような苦労も絶えなかった。