【デーブ大久保コラム】選手たちが契約の交渉の場で自分の意見が言えるのは良いことです
【デーブ大久保 さあ、話しましょう!】 選手たちの契約更改が連日行われています。そのニュース映像を見るたびに、自分自身のプロ1年目の契約更改を思い出します。 【選手データ】平良海馬 プロフィール・通算成績 先輩の渡辺久信さんや笘篠誠治さんから「頑張ってこいよ!」と送り出されて人生初の交渉の席に着きました。そこで当時の西武球団代表の坂井(坂井保之)さんに「プロ1年を終えてどうだった」と優しく聞かれたので「なかなか慣れなかったです」と答えたんです。その直後「そうか、じゃ、ハンコを貸しな」と言われたんです。初めての交渉の席でしたから、何の疑いもなく渡しました。そのハンコを私の目の前で坂井さんが契約書のサイン欄に押して、契約が終わりました(苦笑)。 寮に帰って先輩2人に「ハンコって代表が押すんですね?」と言うと「バカ! 自分で押すんだよ。しっかりと金額を見て」と……40年前はそういう時代でもあったんです。 現在は多くの選手が、自分の意見を言えるようになっています。これは本当にいいことだと思いますね。意見を言うことで、選手にも自覚が芽生えるだろうと思いますし、それだけの条件を認めてもらったら、成績を出す責任が生じてきますから。 また、中にはメジャー移籍を希望する選手もかなり多くなりました。そして容認する球団も出てきています。個人的にはこれも悪いことではないと思いますよ。中にはスター選手がいなくなった翌年はチームの成績が悪くなるじゃないか! というファンもいるかもしれません。でも長い目で見れば、注目のアマチュア選手が将来メジャーを目指したいという強い思いがあるのなら、その挑戦を促してくれる球団に入りたいと願いますよね。そうなると選手層も強力になっていく可能性だってあるはずです。 一方で出て行く選手がいれば、入ってくる選手の枠を広げてもいいと思います。NPBのレベルはMLBの次。3Aよりも投手のレベルは上です。ここに外国人枠を緩和すれば、よりレベルの高い助っ人を呼べる可能性もある。そうなると、日本一の可能性だって高まるんです。 そのためにはデーブ的にはNPBが公益財団法人になるのがいいのではないかと思います。現在は一般社団法人です。公益財団になると、税制面で優遇措置を受けることが可能になります。これで何かとNPBに収益を集中させて、各球団に収益を分配できるようになると、収益的に厳しい球団も、大物助っ人を呼べる可能性だって高まると思います。 まあ、無理ですけど、もしそれが採用されたあとムーキー・ベッツ(ドジャース)が仙台のチームに入団したら、東北のファンは、1度は球場に足を運びたいなと思うはずですし、敵地でも同じような現象が起きる。そうなると各球場収益も上がる。双方向に選手の往来が高まればNPBのレベルも上がるはず。ハンコを代表に渡してしまった人間の、そういう時代になっていってほしいな、という願望を込めての提案です。
週刊ベースボール