世界GP王者・原田哲也のバイクトーク Vol.127「日本人ライダーが欧州メーカーのチームで走ることの意味」
移籍と同時のMotoGP昇格はプラスに作用するかも
先にも書いたように、今、MotoGPライダーになることは本当に難しい。実力が必要なのはもちろんですが、いろいろな条件がすべて揃ったタイミングでしか、門は開きません。そして藍くんは、そのタイミングをしっかりと見極めました。 僕と同じように国内メーカーから海外メーカーに移籍することになるので、比較されていることも多いようです。しかし、いろいろな事情や、ファクトリーチームかサテライトチームか、そしてもちろん時代も異なりますので、比較できるものではありません。まったく別の話だと思う。 ──2001年チェコGPにて、加藤大治郎選手と競う原田さん。このシーズンのチャンピオン争いは2人だけの世界を展開したかのようだった。
でもひとつ言えるのは、国内メーカーから海外メーカーに移籍するのと同時にMoto2からMotoGPに昇格するのは、ちょっとプラスかもしれません。マシンはメーカーも排気量もタイヤも変わりますから、まったくのゼロスタート。すべてをゼロから対応することになるので、変な先入観が通用せず、ライディングもゼロから組み立て直す分、かえってうまく行く可能性は高いと思います。 特に藍くんはダートトラックやモトクロスなどのトレーニングを通じて、走りの引き出しが多い。きっとMotoGPマシンにもうまく対応するのではないかと期待しています。 「早く11月にならないかな」と、今から楽しみです。最終戦が終わってすぐのテストが、彼のアプリリア初乗りになるはずですからね。常日頃から言っているように、うまく行く時は最初から何か光るものが見える。初乗りでパッと輝いてほしいと思っています。 ※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。
Text: Go TAKAHASHI Photo: Pirelli, YM Archives
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