「ドラッグと貧困の“罠”の中で…」HIPHOPの“トラップ”、意外に知らない歴史をSGDが解説!
そもそもトラップとは何なのか?
まずはトラップの特徴的な音について説明します。 トラップでいちばん目立つ特徴として、ドラムのハイハットの音があります。普通は1小節の中でどんなに早くても8拍打つのが主流でしたが、トラップではとてつもなく早い3連符を打ちまくるという、現実では叩くことが出来ないハイハットが入っていることで知られています。 もうひとつの大きな特徴として、スピーカーが割れんばかりのうねるような太いベース音があります。特徴的なハイハット音やベース音、それ以外のパーカッションなどの音はほとんどの場合、日本が誇る音楽楽器メーカーであるRoland社による音楽業界のドラムマシン「TR-808」で奏でています。
1980年代に発売されたドラムマシンは最初はエレクトロニックなどのジャンルに多用されていました。「TR-808」を世界で始めて使ったバンドが、今は亡き坂本龍一氏が所属していた「イエロー・マジック・オーケストラ(YMO)」だと世界的にも知られています。 発売当初はHIPHOP業界でも使うアーティストが多かったですが、音があまりにもデジタルっぽくて特徴的過ぎたという理由で人気が出ずに手放す人が多かったのです。その結果、大量にTR-808を抱えた中古楽器店が続出し、「駆け出しのプロデューサーが購入できる安価なビートマシーン」という印象を持たれ始めました。 売れなくなってしまったTR-808は、アメリカの中でも田舎っぽいイメージがある南側の地方に流れていき、その中でも都会であるジョージア州アトランタ市に多く集まったとされています。 アトランタには才能は溢れているがお金がない黒人たちが多く、TR-808はそんな人たちにとって手が出しやすいため、多くの駆け出しのアーティストの手に渡ったという歴史があります。
トラップ=罠。その歴史と元々の意味
現在日本を含め世界中で当たり前に聴こえてくるトラップというサブジャンル。実はビートの特徴だけでなく、元々「トラップ」にはさまざまな意味が含まれているのをご存じででしょうか? それを理解するにはまず歴史を説明する必要があります。