行列しているのはパリっ子ばかり⁉ パリの人気ラーメン最新事情
日本初の料理評論家、山本益博さんはいま、ラーメンが「美味しい革命」の渦中にあると言います。長らくB級グルメとして愛されてきたラーメンは、ミシュランも認める一流の料理へと変貌を遂げつつあります。新時代に向けて群雄割拠する街のラーメン店を巨匠自らが実食リポートする連載です。 山本益博のラーメン革命!
パリはいま、ラーメン店が雨後の筍状態!
1年ぶりにパリに出かけてきた。驚いたのは、ラーメンの新店の増えたこと! まさに雨後の筍状態と呼んでいい。フランス料理のレストラン巡りで出かけたのだが、その合間を縫って、ラーメンも食べてきた。
円安のため、空港でもシャンゼリゼでもサントノーレでも、日本人をほとんど見かけない。ラーメン屋でさえ、日本人を見かけなかった。店の前に行列を作っているのも、テーブルで食べているのもパリっ子ばかりである。それも、不思議そうに、おぼつかない箸の持ち方で食べているのではない。おしゃべりに興じながら、昔から知っているような感じで、ラーメンを食べている。
ひと昔前では考えられなかった光景で、隔世の感がある。オペラ座近くのサンタンヌ通りは日本料理店が立ち並ぶ。今それが、軒並みラーメン屋ばかりである。40年前は、日本料理の「たから」、ラーメンと言えば「ひぐま」だった。 私のパリの定宿は9区にあるのだが、この辺りでもラーメンの看板が目立つようになった。
なんの変哲もないところが魅力? の「猫ラーメン」
足を運んでみたのは「猫ラーメン」。開店前から店の前に行列が出来ている。ホテルから近いものだから、改めて行列のない時間を見計らって出かけた。
出てきたものは、具材が盛りだくさんに並べられた、なんの変哲もないラーメン。出汁にも麺にも、まったくこだわりが感じられないラーメン。
だが、食べ進むうちに、このあまりに特徴のない、「ラーメンらしい」どんぶりがウケているのかも知れないと思った。
こちらの「SHOYU RAMEN」もほぼ同様。昨年、食べた「KODAWARI RAMEN TSUKIJI」ほどの個性が感じられない。でも、「RAMEN」のこの勢いは当分、収まりそうな感じがしない。