行列しているのはパリっ子ばかり⁉ パリの人気ラーメン最新事情
ラーメンだけでなく、そば屋も人気。ミシュラン掲載の「ABRI SOBA」
実は、私の泊まるホテルの近くに、「ミシュラン」でビブグルマンに推奨されているそば屋がある。「ABRI SOBA」という日本そば屋である。ラーメンを食べるなら、久しぶりのパリでそばも食べてみようと出かけてみた。「ミシュラン」に掲載されながら、予約を取らない店なので、夜遅くになっても行列が絶えない。9時近くにでかけても30分ほど並ばなければならなかった。
誰もがつまみをとって、おしゃべりに興じながら酒を飲みつつ、そばを待つ。冷たいおろしぶっかけそばと鴨そばを注文。これが、どちらも見事な出来栄えの味だった。そばの香りが豊かで出汁は本物である。
さすが「ミシュラン」と、唸ってしまった! いつかまた、フランス料理を食べ続けるなかで、醤油味が恋しくなったら来てみよう。
パリに着いた晩は必ず出かける「ブイヨン シャルティエ」
最後に、フランス料理のご紹介。これまた、私の泊まるホテルの近くに、大衆食堂がある。その名を「ブイヨン シャルティエ」という。歴史的記念建築物に指定された由緒ある大きな食堂である。ここもまた、予約を取らないシステムなので、いつも長い長い行列ができる。それでも、グループ客や学生たちがお腹を空かしながら席が空くのを待っている。
メニューは1ユーロの野菜スープからある。エスカルゴに始まり、ポトフ、アルザス名物のシュークルート、鴨のコンフィなどなど。
最後のデザートは、いつも決まってラム酒をたっぷりとかけたブリオシュ生地のババ。
ギャルソンたちが忙しく立ち回り、お客さんのおしゃべりが堂内にこだまする。これが、素敵なBGMで、パリに着いた晩は必ずこの店に出かける。私にとって、パリにやってきたことを実感する、まことに貴重なレストランである。
● 山本益博(やまもと・ますひろ)
1948年、東京都生まれ。1972年早稲田大学卒業。卒論として書いた「桂文楽の世界」が『さよなら名人芸 桂文楽の世界』として出版され、評論家としての仕事をスタート。1982年『東京・味のグランプリ200』を出版し、以降、日本で初めての「料理評論家」として精力的に活動。著書に『グルマン』『山本益博のダイブル 東京横浜&近郊96-2001』『至福のすし 「すきやばし次郎」の職人芸術』『エル・ブリ 想像もつかない味』他多数。料理人とのコラボによるイヴェントも数多く企画。レストランの催事、食品の商品開発の仕事にも携わる。2001年には、フランス政府より、農事功労勲章(メリット・アグリコル)シュヴァリエを受勲。2014年には、農事功労章オフィシエを受勲。
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文・写真/山本益博 編集/森本 泉(Web LEON)