実力は本物!なぜBOX転向2戦目を衝撃1回TKOで飾った元K-1王者の武居由樹は那須川天心との対決を熱望したのか?
黒のエナメル地で作ったショートガウンの背中には「K-1」のロゴが入っていた。 「僕が負けちゃうとK-1の選手は強くないと思われちゃいますから。K-1のためにもと」。これが元K-1王者の看板を背負う覚悟の証拠。だから武居は一歩も引かない。 武居のモチベーションをさらに高めるライバルがいる。キック界の神童と呼ばれ、RISE、RIZINなどのリングで公式戦無敗を誇り、2018年の大晦日には、元5階級制覇王者のフロイド・メイウェザー・ジュニア(米国)と、ボクシングルールのエキシビションマッチで対戦したこともあるビッグネームの那須川天心が、いよいよ来春には、プロボクシング界に参入してくるのだ。 「僕が先に(ボクシング界に)きたので先に上で待っていたい」 「上」とは、もちろん先にベルトを巻いていることだ。 先に一歩踏み出し、結果を出した自負がある。 隣に座っていた大橋会長から「試合をしたい気持ちはあるの?」と聞かれ武居は即答した。 「試合をしたい気持ちはあります。僕と天心との試合を見たい人がいるかもしれないので。やってみたいという気持ちはあります。それがベルトをかけた試合になれば盛り上がるんじゃないかな」 那須川天心は、ボクシングではバンタム、スーパーバンタム級を主戦場にすると言われており、現在、スーパーバンタムで戦っている武居には「バンタムでも」の考えがある。まるで天の配剤のように2人は同じ階級となる。キック時代は、所属団体が違うため戦うことはなかったが、ボクシングの世界では避けて通れないライバル。実現すればファン垂涎のカードだろう。 次の第3戦は未定だが、6回戦から8回戦にランクアップする。 大橋会長は、「キックのクセを抜く練習期間が必要だが、来年にもローカルタイトルを」との青写真を描く。まずは日本タイトル、OPBF東洋太平洋、WBOアジアパシフィックなどのローカルタイトルに照準を定める。 「まだまだこれから。でも(K-1時代に持っていた)ベルトがないのは寂しい。早く高い位置にいきたい」 過去にキックからの転向組で世界王者まで上りつめたボクサーはいない。だが、武居は、そんなジンクスを覆しそうである。 (文責・本郷陽一/論スポ、スポーツタイムズ通信社)