中国サプライズ“短期ビザ免除”舞台裏…石破首相への期待と日中関係の行方
■“戦後80年”…日中関係は
石破首相は24年11月29日に行った所信表明演説で、「中国の習近平国家主席とも、かみ合った議論を行うことができたと感じています」と述べた上でこう胸を張った。 「私が指摘した短期滞在の日本人への査証免除再開については、すでに中国側から明日30日に開始するとの発表がありました」 ビザ免除を首脳外交の成果として誇ってみせた石破首相。しかし、対中外交に限ってみても、今後の道のりは平坦ではない。日本産水産物の輸入停止や、反スパイ法による邦人拘束事案、中国公船の度重なる日本領海への侵入など、日中間の懸案は山積していて解決への道筋は見えていない。さらに、中国で日本人が被害に遭う殺傷事件が相次ぎ、日本国民の対中感情が悪化する中で「ビザ免除」の効果がどこまであるかも未知数だ。 また、貿易や安全保障で独自の考えを持つ、アメリカのトランプ次期米大統領との激しい駆け引きが予想される中で、石破政権が中国が期待するような「アメリカにモノ言う外交」を貫けるかも不透明といえる。 そして、25年は戦後80年を迎える。中国では軍事パレードなど「抗日戦争勝利」を祝う記念のイベントが行われ、必然的に「愛国」ムードが広がることとなる。1つのきっかけで「反日」感情に火がつきかねない“敏感な節目の年”だからこそ、この国と向き合う覚悟が石破政権には問われることとなる。