伝統のGT開幕戦で悪夢…なぜ阪神の新4番ボーアはブレーキとなったのか?
プロ野球が19日に開幕。東京ドームで行われた伝統の一戦では、阪神が巨人に逆転負けを喫して4年ぶりの黒星発進となった。深刻なのは4打数ノーヒットでブレーキとなった4番ボーアだ。練習試合の後半から続く不振から抜け出せない。しかも今日20日の巨人先発は苦手としている左腕の田口麗斗。阪神は開幕から頭の痛い問題を抱えることになった。
Gエース菅野に手玉に取られる
象徴的シーンだった。1点を追う9回。巨人の守護神、デラロサから3番のマルテが、この日3本目となるヒットをレフト前へ返し出塁した。ここで4番のボーアである。一発が出れば逆転。だが、カウント1-1から狙っていたはずの153キロのストレートにタイミングがあわず、打球は三遊間方向へ。巨人は”ボーアシフト”を敷いていた。三塁の岡本が三遊間付近を守り、ショートの坂本が二塁ベース後方に。打球は、その岡本の正面へ飛び、「5-6-3」と渡る珍しい併殺打となった。それを成立させた岡本、坂本、中島らは笑っていたが、絶好の好機を潰したボーアは少しうつむいてベンチへと戻った。 待ちに待った3か月遅れの開幕戦で新4番のボーアがブレーキになった。マルテが3度、出塁しているからなおさら手痛い。2回に先頭打者で迎えた第1打席は、やや甘いカーブを打ち損じてキャッチャーへのファウルフライ。この打席では、菅野に高めの吊り球を試されて空振りしている。4回一死一塁の第2打席は、徹底してインサイドに変化球を出し入れされた。最後は、151キロのストレートにスイングアウト。それも”まんぶり”ではなく、まるで、お嬢さんがバットを振っているような中途半端なスイングだった。 6回無死一塁の第3打席では大胆に高めのストレートを軸に押しこまれてカウントを作られて、最後はインサイドのスライダーで仕留められた。三塁フライである。菅野に手玉に取られた。 10回に3回ヒットを打てば「スラッガー」と評価されるプロ野球では、4タコもよくあること。本来なら、開幕の1試合くらいで何も問題にすべきではないのかもしれないが内容があまりにも悪い。まるでスイングをさせてもらっていないのだ。 タメや間を作れずにバッティングが窮屈で、バッテリーに恐怖心を与えるような豪快な空振りやファウルがないのだから失投というミスも起きない。 たとえば、メジャー通算92発のボーアに比べて、通算17本とスケールの小さい広島の1番打者のピレラは、対照的にブンブンふる。穴も大きいが、この日の横浜DeNA戦では9回に価値ある来日1号を放っている。これも警戒するバッテリーの失投を誘ったもの。