伝統のGT開幕戦で悪夢…なぜ阪神の新4番ボーアはブレーキとなったのか?
ハンシン・レジェンド・テラーの掛布雅之氏は、練習試合からボーアの問題点を不安視していた。「公式戦で1本出れば変わる」との期待感を持ってテレビ観戦していたというが、「課題が改善されていない厳しい内容だった」という。 「三振を怖がっているのか、ボールに当てにいっている。後ろ足に重心を残そう、ボールをひきつけて打とうという意識が強すぎるので、必然、右足の踏み込みも浅くなり、いわゆる右側の壁がなくなってしまっている。もっと前にスイングの幅をもたせる感覚でフルスイングをすればいいのだが、今の状態であれば、まず外、高めのボールは打てない。たとえ甘いボールが来ても打ち損じてしまう可能性が高い。そういうデータは、すでに巨人に取られ菅野に忠実に使われていた。沖縄キャンプのフリー打撃で見せていた、いい状態から、すっかり形が変わってしまった」 2日に再開した練習試合では3試合連続本塁打を記録した。その際は、右足の踏み込みが改善されつつあったという。だが、苦手な左腕と対戦するようになって徐々に状態が悪化。対左腕に対し沖縄キャンプから数えて全18打席、16打数連続ノーヒットである。メジャー時代も、ここ5年の対左の平均打率は.214、通算本塁打8本と苦手にしていたが、細かいコントロールを持つ日本の投手に弱点を攻められ”アレルギー”は強くなったようだ。 「左腕に対しては、さらに開きがはやくなって、左肩が下がり、ベルト付近の腰の動きもレベルに回らなくなっていた。そうなると甘いボールも捉えきれなくなる」と掛布氏。今日の巨人との第2戦は、その苦手の左腕、田口が先発だ。 新4番の不振脱出への”処方箋”はないのだろうか。
掛布氏は、こんな提言をした。 「まずはメンタルの問題を解決すべきだろう。横浜DeNAのラミレス監督はソトに対して”好きなところだけを狙え。その他のボールが来て三振をしたってかまわない。責任は俺が取る”と言って気持ちを楽にさせ、本塁打を量産するようになったそうだ。ボーアに対しても、”外のボールは捨てていい。好きなコースだけをフルスイングすれば三振してもOKだから、当てずに振れ!”とベンチが指示を出して気持ちを楽にしてあげればどうだろうか。幸い無観客でファンからの厳しい声は聞こえない。ドームならば出合い頭で一発が出る可能性がある。打者は一発が出れば、ガラっと変わるもの」 また、この日の試合では、懸念材料のひとつだった”6番不在”の問題も露呈した。6番で起用された糸原も3のゼロ。特に4回二死一、二塁での凡退が痛かった。しぶとく三遊間の深いところに同点のタイムリー内野安打を放った巨人の6番・中島とは対照的だった。 本来なら、福留あたりが6番を打つのが理想だが、1、2番を「糸井―近本」で固めているため、どうしても下位打線に歪が生まれる形になってしまっているのだ。 「開幕したばかりですぐに打順を動かす必要はないと思うが、4番、6番がポイントゲッターとして機能しないと苦しくなる」と掛布氏。 先発の西が、プロ入り初の本塁打&タイムリーを巨人の菅野から奪い、開幕ゲームで驚愕の”孤軍奮闘ショー”を演じ主導権を握っていた。だが、7回からバトンを受け継いだ2番手の岩崎が、吉川尚に技ありの逆転2ランを浴びてゲームは暗転。結果的に4番・ボーアのブレーキにスポットライトが当たることになってしまった。 新型コロナウイルスの感染予防のため、イレギュラーな日程となり、阪神は開幕から15試合、敵地でのロードが続く。それを”死のロード”に変えないためにも、悪い流れは1日で断ち切らねばならないが…。