甲子園使用料もゼロ…夢の高校野球交流戦実現の裏に阪神のバックアップ
日本高野連盟は10日、理事会を開き、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で中止となった今春の第92回選抜高校野球大会に出場予定だった32校を阪神甲子園球場に招き「2020年甲子園高校野球交流試合」(仮称)を行うことを決定、発表した。 日程は8月10~12、15~17日の6日間で、各校1試合。9回打ち切りルールの1日3試合以内。原則無観客での開催になるが、ベンチに入れなかった3年生など関係者の観戦については今後検討される。通常18人のベンチ入りメンバーも20人に拡大される。また北海道と東北以外のチームは、公共交通機関を使わずに貸し切りバスで移動し、最大2泊3日の日程で、移動、宿泊による感染リスクが避けられ、近隣のチームは、日帰り。また開会式は甲子園では行わず、組み合わせ抽選は7月18日にオンラインで行われる。 やっとの思いで手にしたセンバツの夢が絶たれる無情に涙した球児たちに最高のプレゼントとなった。緊急事態宣言解除後も、閉塞感の続く社会に希望の光を灯す日本高野連のヒット企画になったが、実は、この交流戦の実現の背景には、阪神甲子園球場、阪神タイガースを持つ阪神電鉄(阪急阪神ホールディングス)のバックアップがあった。 日本高野連は、夏の大会の中止を5月20日に決定したが、同時にプロ野球では6月19日の開幕に向けての新しい日程作りが進んでいた。8月10日から25日まで開催予定だった夏の高校野球が中止になったことで、そこに甲子園での本拠地ゲームを埋め込むことも可能だったが、阪神は、球児たちになんらかの救済イベントがあることを想定してスケジュールを空けていた。 5月22日の段階で阪神の谷本修副社長は「甲子園を持っている阪神電鉄とタイガースと甲子園球場です。できることは協力していきたいという姿勢は持っています」とコメント。大阪の吉村洋文知事が、すぐに反応するなど、「阪神が甲子園を空けて待っている」ということは、救済案を検討していた高野連に対しての強烈なメッセージになっていた。 実は、阪神が、このような準備をしたのには理由がある。センバツは、無観客での開催が模索されていたが、大会ギリギリの3月11日に安全が確保できないことを理由に中止になった。その会見で日本高野連の八田英二会長は「何らかの形で甲子園の土を踏ませてあげたい」と発言していたが、実際、すぐに水面下で動き始めていた。