関東大震災や戦前の銀座を「カラー映像」化 NHKが東京の100年を振り返る番組
関東大震災の火災で燃え盛る東京の街、戦前の銀座の街を闊歩するモダンガールたちの色鮮やかなワンピースや着物――。それらはこれまで「モノクロ」の映像で私たちのイメージに残っている。そのモノクロの東京の歴史に「色」をつける試みがある。NHKが19日夜に放送する「カラーでよみがえる東京~不死鳥都市の100年~」では、関東大震災や太平洋戦争などさまざまな試練を乗り越えてきた東京の100年を、時代考証や最新のデジタル技術を駆使し、カラー化した映像で振り返る。
500時間のモノクロ映像を収集
今回の「カラー化プロジェクト」では、モノクロでしか残っていなかった100年前の東京の街の風景を、フランスの映像制作会社CC&Cの協力の下、カラー化した。番組は73分間だが、東京に関する過去の白黒フィルム映像を世界中から集め、約500時間分を収集。そのうち800カット分(約2時間分)をカラー映像にした。映像は白黒の段階で厳選したという。「東京見物」という大正時代の記録映像のような、新発見の映像もあった。
玉音放送のカラー映像化も
番組は5つのパートに分かれ、「震災前の東京」「関東大震災」「震災からの復興」「戦争と東京大空襲」「戦後復興とオリンピック」という歴史に沿って振り返る。 明治時代末期のまだ木造だった日本橋、1923年の関東大震災で炎上する帝国劇場や警視庁の炎、震災から復興した銀座のモダンガールたちの色鮮やかなワンピースや夜のネオン、建設途中の東京タワーがそびえる戦後復興期の東京の街などが色つきで再現される。 番組中に繰り返し出てくる場所がある。その一つが国立競技場だ。太平洋戦争の時代には、前身の明治神宮外苑競技場で学徒出陣壮行会が行われた。競技場は黒い学生服で染まっていた。打って変わって、戦後復興の証である1964年の東京五輪では、各国の選手や観客たちの色鮮やかなユニホームや衣服で華やいだ。 日本が真珠湾攻撃を仕掛けた1941年12月8日と、昭和天皇が戦争終結を宣言した1945年8月15日の映像には、ともに青い空が登場する。ちなみに、この玉音放送のカラー映像化は「初めてのこと」(NHK広報)だという。