関東大震災や戦前の銀座を「カラー映像」化 NHKが東京の100年を振り返る番組
白黒の時代はそんなに昔じゃなかった
今回の番組について、岩田さんは「闇や悲しみだけではない東京の歴史を表現したかった。100年の東京の歴史をトータルで描くことはこれまで案外やられていなかった」と意義を語る。東野真プロデューサーは「(記録映像番組は)放っておくと歴史年表みたいになってしまう」と単調なストーリーにならないよう配慮したという。例えば、上野や日本橋、国立競技場のように、特定の場所を定点観測して「その場所が時代によって表情を変えていく」ことを意識した。「繰り返す同じような現象から何かを汲み取れないか」という思いだ。 また今回は、普段の番組づくりとは「仕事のプロセスが逆だった」という。カラー化してみないと、その映像が本当にストーリーに合うかが分からないからだ。実際に仕上がりを見てストーリーを組み直したこともあった。そのために少し多めに映像をカラー化した。 東野さんは、これまでモノクロ映像で見ていた世界が「色をつけることで、実はそんなに昔じゃなかった」ことに気付くのだという。明治大正や戦前戦後の時代が「カラー化」することで一気に「いまの風景」に感覚が近づく。この「歴史が近くなる」ことも今回の番組の意義かもしれない。
東京の100年をカラー化した映像で振り返る今回の企画。番組内では、男性が過去の映像を指先で探す動作をしている。スマホのタッチパネルを操作するような演出だ。岩田さんは「2014年に番組をつくる意味として、今の時代を刻印できる要素を盛り込みたかった」と語る。次の100年はどんな映像で時代が刻まれていくのだろうか。 番組は19日午後9時からNHK総合テレビで放送される。