「遠い国の出来事ではない。一人ひとりが考えることが重要」ロシアによるウクライナ侵攻
2月24日に始まったロシアによるウクライナ侵攻により、双方の兵士だけではなく、多くの市民の命も奪われています。また、100万人を超えるウクライナ人たちが隣国のポーランドをはじめ、西の方へと逃れている状況です。「ウクライナ侵攻は決して遠い国の出来事ではない。自分事としてとらえてほしい」そう語る国際政治の専門家・遠藤乾氏に、現状をわかりやすく解説してもらいました。(Yahoo!ニュース Voice)
プーチン氏に非がある3つの理由
遠藤乾: 今回のウクライナ侵攻に関して、プーチン氏の非は大きく分けて3つあります。 1)国際法に違反している 「ウクライナが主権国家である」ということは、冷戦後ロシアとしても認めていたことです。しかし、それにもかかわらず自国の軍隊を入れ、侵攻をした。これは明確な国際法違反であり、国家の主権侵害にあたります。 2)他国の存在を否定する思想を持っている 実はプーチン氏は、ウクライナは「国」ではないという旨の発言をしています。「バラバラなものの混成物であって、ロシアの一部という形でしか生きていけない。ロシアと一体であるがゆえに、自分たちが指導をしたり、軍隊を入れてもいい」と言うのです。 ウクライナは「主権国家」であり、人々は自国に誇りを持っています。ですが現在プーチン氏は、ウクライナを“国として存在できないもの”として扱い、軍隊を入れている。他国の存在を文化もろとも認めないという非常に否定的な思想には、国際法違反という法的なものを超越した、大きな問題があります。 3)他国の紛争を誘発しかねない ロシアのウクライナ侵攻を放置してしまうと、「暴力による現状変更」を認めるということになり、非常に大きな問題になります。というのも、現状に不満を持つ国は世界中にたくさんあるわけです。そんな状況において、今回のことが軍隊の力で暴力的に片方の主張を認めさせられるという先例になってしまうと、他の地域での紛争を誘発する可能性が出てくるのです。