「遠い国の出来事ではない。一人ひとりが考えることが重要」ロシアによるウクライナ侵攻
諸外国の動き、そして日本ができることとは?
――NATOはウクライナを直接防衛できないのはなぜでしょうか。 遠藤乾: ウクライナはNATO加盟国ではないので、NATO諸国は防衛義務を負っていません。むしろ、アメリカやイギリスやフランスの軍隊を直接入れてしまうと、第三次世界大戦に発展するおそれもあります。ですので、NATO諸国はウクライナに武器などを供与するという形で、軍事支援をしています。 ――諸外国は様々な方法でロシアに対して圧力をかけ、ウクライナに対しては支援を開始しています。 遠藤乾: 西側諸国は、ロシアに経済・金融制裁を加えるという形でもロシアに圧力をかけようとしています。ドルをはじめとした国際通貨による決済を制限したり、ロシアの中央銀行の資産を抑えたりしています。このようにロシア経済を締め付けることで、プーチン氏と親交の深い富豪たちを困らせて、プーチン氏に距離を置かせる。さらに、ロシア市民がプーチン氏を問題視する。そういった効果が期待できると思います。 外交的には、国連総会の緊急特別会合が開かれています。ロシアを非難する決議を採択し、ロシアを国際的に孤立させようしています。 また、現在100万人以上の避難民が生じています。ウクライナの人々が隣国ポーランド、あるいはルーマニアなどに逃れている中で、水や食料、テントや毛布などの物資が必要になります。諸外国からの援助が求められています。 ――日本にできることはなんでしょう。 遠藤乾: すでに日本国政府は経済制裁に加わっており、ロシアの国際決済を困難にする動きの仲間に入っています。さらには、ロシア中央銀行が日本国内に持つ資産を凍結し、自由に動かせないようにしました。これらはかなり強い行為です。また、避難民の受け入れも表明しています。 国民一人一人が個人的にできることとしては、人道的な支援があると思います。すでに約6万人の日本人から、ウクライナ大使館宛に合計20億円近くの寄付があったというニュースが流れています。困った時はお互い様ですので、そういった支援をたくさんしてあげてください。