大阪熱狂!那須川天心が最強ムエタイ王者の額を必殺技で割り「殺傷能力がついた」と豪語
一方の志朗は、「デビューの時からずっと見ている選手。55キロのときのほうがスピードはあった。58キロでスピードが遅くなった」と、天心自身が口にした課題をついた。 天心は明らかにパンチ主体のスタイルに変わりつつあるが、「パンチ技術が凄い。でも(蹴り主体の)前の方が嫌だった。(天心対策に)ボクシングジムに行ってボクサーとスパーをやんなきゃいけない」とも言う。 ルンキット対策でサウスポーとのスパーを4か月間、徹底したことも、天心戦にはつながる。「プラン、作戦がないわけじゃない。僕は、格闘オタク。試合映像を見て作戦を考えるのが大好き、どうやって勝つかを考えていきたい。ポイントはスピードとボクシング。自分も秘策があるので楽しみにしてください」 志朗は打倒天心を“秘策”という2文字で結んで不敵に笑った。 最後に。 前売りチケットは完売、5850人で埋まった大阪の格闘殿堂を天心は熱狂させた。RISEも天心も大阪初上陸だったが、つかみからOKだった。誂えた大阪バージョンの特別ガウンは、金ラメの虎模様。タイガースカラーだ。矢沢永吉の入場曲にあわせて登場、“虎ガウン”がビジョンに映し出されると会場は異様に盛り上がった。 「大阪と言えば虎でしょうということで。派手にできたかな」 阪神を主に扱うスポーツ紙の記者から借金生活の続くタイガースについてのエールを求められると「頑張れ!タイガース!」とサービス精神を発揮し「ガウンの反響? SNSを見てみないとね」と続けた。 ガウンを製作した株式会社プレアリオエンターテイメント(ブエゴ事業部)代表取締役の淡野智彦氏もスタンドで試合を見守っていた。天心がまだ14歳の頃からガウン作りを任され、毎試合、パターンを変えて製作してきた。 「今回のコンセプトは大阪。イコール虎です。阪神タイガース?そのイメージはなかったのですが、見る人がどう感じてくれるか、でいいと思います。ただ大阪は大阪でもださくならないようにしたかった。天心のガウンでは、レアなパターン。ファンの方に楽しんでもらえればと」 天心自身のガウンデザインへのこだわりは、実は「癖の強さ」「目立つ」という個性だという。基本はすべてロングガウンで「Aライン」をつけるように注文を受けている。そこには20歳とは思えないプロ意識、エンターテインメント意識がある。 衝撃のTKO勝利後、花道に天心を争って観客が殺到した。仕切りの柵が10本以上折れた。それほど天心のファイトは大阪の人々の心に響いた。 「大阪の熱気は凄かった。次は京セラドームでやりましょう」 ボクシング転向の可能性も含め、格闘家として急激に進化しつつある天心ならば、夢が夢で終わりそうにない気がしてきた。 (文責・本郷陽一/論スポ、スポーツタイムズ通信社)