横浜DeNAの新外国人オースティンが「4の4」決勝打の衝撃先発デビュー…9割完成の2020年型ベイ打線の脅威
つまろうが、バットの先であろうが、やや狭いスタンスからノーステップに近いタイミングで、決して形を崩すことなくスイングに入る。ハンシン・レジェンド・テラーの掛布雅之氏は、「上下、前後にぶれずにスイングしている。体をレベルに使えるから本塁打だけでなくかなりの率を残すのではないか」と評価していたが、ぶれないから打球はヒットゾーンに落ちる。会心のあたりがなくとも、それをヒットにできるパワーと形があるのがオースティンの強みである。 来日1年目に新型コロナ禍が直撃したが、米国へは帰らず、自粛期間中にもトレーニングを重ねた。約1か月で体重が104キロまで増えたが、「自分よりトレーニングメニューに詳しい」というモデルでもある美人妻のステファニーさんがコーチ役になって激しいワークアウトを消化。体重を101キロまで絞り込んだ。寿司などの魚介類は苦手だそうだが、ステファニーさんと一緒に料理にも挑戦。牛肉や枝豆でタンパク質を補給して筋肉に変えパワーアップしてきた。 短期間の練習試合で張り切りすぎたのか、右肘上部に張りが出て、開幕から3試合は、代打待機となっていたが、「状態は良くなった。この状態が続けばと思っている」という。 メジャーで屈指のパワーと裏腹に三振率が高く、そこがネックだった。スタメンデビュー戦でインパクトを残したが、ネット裏のスコアラーは、今後、弱点探しに躍起になってくる。 「まだすべてのピッチャーを見ていない。もっと慣れていく。(日本の投手への)アプローチの仕方がわかってきたら、もっと調子がよくなっていくと思う」 オースティンもまだホームランという潜在能力を発揮していない。 「チームが勝ったことがうれしい。1番から9番まで、みんなが振れていた。ピッチャーがよく頑張ってくれていた。ひき続き勝利に貢献できるように頑張っていきたい」
オースティンのフォア・ザ・チームの精神に火をつけたのは先発浜口の粘投だった。浜口は、「相手の裏をかく」高城の好リードに引っ張られながら、粘り強くスコアボードにゼロを並べた。8回を終えた時点で球数は127球だったが、「どうする?」の打診に続投を志願。完封を狙って9回のマウンドに上がった。2本のヒットを浴び、一死一、二塁でストッパーの山崎にマウンドを譲った。 「ランナーを貯め、康晃さんに負担をかけた悔しさ、投げ切れなかった悔しさはあります。でも、高城さんをはじめ、野手のみなさんのいいプレーでヒットや失点を防いでもらった。この1勝はうれしい。感謝したい」 4回には二死一塁から京田にライト線に痛打され、中日の荒木三塁コーチは、オースティン―ソトの中継にはボロが出ると考えランナーを回したが、絶好球がホームに返ってきた。阿部のタッチを避ける“忍者走塁“で、一度は、セーフのジャッジが出たが、ラミレス監督がリクエスト、判定が覆った。 浜口には意識すべき相手がもう一人いた。柳は、横浜DeNAがドラフト1位で入札した因縁の投手である。中日にクジで負け、”外れ外れ1位”で指名されたのが浜口だった。これがプロ4年目で初のマッチアップである。 「意識しました。ドラフトの因縁もありますし、柳を尊敬する部分もあります。彼とは、これからも多く投げ合うだろうし負けたくないという思いがあります」 横浜DeNAの今季を支える、それぞれの役者が揃っての連勝。しかも6連戦の頭を取ったのが大きい。今季初セーブをマークした山崎をマウンドに迎える際、バックスクリーンには、リモート応援で、康晃ジャンプをするベイスターズファンの姿が映し出されていた。