なぜ広島の大瀬良は開幕完投勝利&プロ初本塁打を飾ったのか…横浜DeNA今永が分析したライバルエースの凄さと反省点
雨の開幕ゲームとなった横浜DeNA対広島戦が19日、横浜スタジアムで行われ、広島の大瀬良大地(29)が1失点完投勝利&プロ入り初本塁打の活躍を見せて佐々岡真司新監督(52)へ初勝利をプレゼントした。大瀬良の好投理由をベンチから冷静に分析していたのが、5回7安打5奪三振2失点の内容で先にマウンドを降りた横浜DeNAの今永昇太(26)だ。尊敬、反省、奮起…。3か月遅れの無観客の開幕戦から新たなライバル物語が始まった。
「待ちに待った開幕だったので」
大瀬良はマウンド上でナインの勝利の祝福を”エアタッチ”で受けた。 「待ちに待った開幕だったのでなんとかチームが勝ってよかった」 柔和な笑顔が雨に濡れる。 「状態は正直、あまりよくなかった。丁寧に投げようと、會澤さんと話をしていた。なんとか最後まで投げ切ることができてよかった」 116球の4安打、4奪三振、1失点の完投勝利。2回にロペスに先制のソロアーチを許したが、「相手も今永君だった(味方が簡単に得点できない)。先制点を取られてしまったが、粘り強く投げれば逆転してくれると信じて」との覚悟での粘投だった。 絶体絶命のピンチもあった。わずか1点のリードで迎えた8回、先頭の宮崎にライトフェンス直撃の二塁打を打たれ、伊藤光にバントを許し一死三塁の同点機を背負った。ラミレス監督は、とっておきの代打を用意していた。「腕のハリ」でスタメンを外れていた新外国人のオースティンである。練習試合で打率.385、3本塁打7打点を誇る”Vの使者”の強烈な打球が三塁の右を襲う。 大瀬良が「打球が早すぎて(目で)追えなかった」というほどの打球だ。だが、広島の佐々岡新監督は、メヒアに替え三好に三塁を守らせていた。瞬間的に反応した三好は、膝を滑らせながらキャッチすると、すぐさま体を入れ替えホームへストライク送球して同点の走者を憤死させたのだ。一塁ベース上のオースティンは唖然。大瀬良にとって、これが最大にして最後のピンチだった。 「なんとか三好が取ってくれた。あそこは大きかった。感謝している」 恐怖の9番打者が、投手・大瀬良を助けた。0-1で迎えた5回一死三塁。スクイズも考えられる場面で、広島ベンチが大瀬良に送ったサインは「初球から打ってよし」だった。 「取られた点数を取り返したいと打席に入った」という大瀬良が今永の初球のど真ん中のストレートに食らいついた。同点のタイムリーがセンター前へ抜けていく。 そして9回である。二死一塁。あとは、最終回の投球に集中するだけという打席で横浜DeNAの5番手、国吉の高めのストレートを右方向に振り切った打球がライトスタンドの最前列に飛び込んだのである。4-1。もちろんプロ入り初本塁打。1点のリードでは9回はどうなっていたかわからない。 「たまたま振ったら当たった。追加点になったので、9回に楽な気持ちでマウンドに上がることができた」。さらにピレラの一発まで出て5-1とリードを広げて、佐々岡新監督に初陣勝利をプレゼントする形になった。 佐々岡新監督もベンチ前で大瀬良とウイニングボールを持って記念撮影。 「ホームランはびっくり。開幕を(大瀬良に)託すことは最初(就任時)から決めていた。いいスタートを切れたと思う。監督初勝利? 嬉しさはあります」