【楽天】田中将大「電撃退団表明」を疑問視する声 イチロー氏と比較される〝あり得ないタイミング〟
日本球界に激震だ。日米通算200勝まで3勝に迫っている楽天・田中将大投手(36)が、今季限りで退団する意向を24日に電撃表明した。今季は昨秋に受けた右ヒジ手術の影響もあり、登板はわずか1試合。生きるレジェンドが残してきた功績は失われるものではないが、自ら発表したタイミングを巡っては「あり得ない」と疑問視する声が噴出した。 【写真】母校を電撃訪問したイチロー氏 突然の退団表明だった。この日、田中将は自身の公式ユーチューブチャンネル「マー君チャンネル」に動画を新規投稿し、「この度、私は楽天イーグルスと来季の契約を結ばずに、新たなチームを探すことに決めました」と衝撃発言を放った。 楽天入団1年目の2007年から11勝を挙げ、エースの地位を不動のものにすると、13年にはプロ野球の歴史に金字塔を打ち立てた。前人未到のシーズン24連勝を飾り、勝率は驚異の10割。04年の球団創設以来、初めてのリーグ優勝と日本一を成し遂げ、東日本大震災からの復旧と復興へ進む被災地へ感動と希望を届けた。 14年以降は海を渡り、ヤンキースで活躍。MLBで78勝を積み上げ、21年から楽天に復帰したが、結果は伴わなかった。昨年10月には「右肘関節鏡視下クリーニング術」を受け、今季登板は9月28日のオリックス戦(楽天モバイル)の1試合だけ。5回6安打4失点で黒星を喫し、4年間で2桁勝利を一度もクリアできずに終わった。 成績の低迷とともに年俸も右肩下がり。21年から年俸9億円の2年契約で復帰したが、23年は4億2500万円ダウンの大減俸となり、今季も2億1500万円減…。4年で9億円から2億6000万円まで急降下していた。 球団側も田中将のユーチューブ配信と合わせるように、30日に提出する契約保留者名簿に記載しないことをホームページで発表。田中将は球団や仲間、ファンへの感謝を述べた上で「日本に戻ってきてからイーグルスで日本一になることを目標にみなさんとともに、日本一になりたい一心でプレーをしてきました。この4年間でその目標がかなわず本当に残念です」と後悔も口にした。 今季の成績から見てもさらなる減俸は必至。交渉が決裂したとみられるが、球界関係者の間ではこんなブーイングが飛び交った。 「気持ちも分からなくはないが、球界人であればタイミングも選ばなければならない。あり得ない。日本球界に身を置く者ならば、今日がどういう日か分かるはず」「明日まで待てなかったのか。自分のことしか考えていないと言われても仕方がない。〝タブー〟を犯した」 この日は日本代表が国際大会「プレミア12」の決勝を東京ドームで控えていた。台湾戦は午後7時開始予定で、田中が動画を配信したのはプレーボール1時間前の午後6時ごろだった。別のNPB球団の関係者も「球界に大きな行事がある場合は、同じ日に話題をかぶせないことが常識でありマナー」と首をかしげた。 最近ではこんな例もある。日本に帰国中のイチロー氏(51=マリナーズ会長付特別補佐兼インストラクター)は今月18日に母校である愛工大名電を訪れ、後輩たちに指導を行った。しかし、同日は侍ジャパンが台湾・天母球場でドミニカ共和国戦を控えていたため、実際に各メディアが報じたのは指導した翌19日。この背景には「イチロー氏サイドの日本代表に対する配慮があった」(別の球界関係者)という。 細心の注意を払ったイチロー氏とは対照的に、侍ジャパンの最終決戦と自身の去就を自らバッティングさせてしまった格好の田中将。「来季はどこでプレーをするかというのはまだ何も分からない状態。来季は今年投げられなかった分、さらにしっかりと投げて戦っていきたいと思っている」と意気込んだが、冷ややかな視線も注がれている。
大島啓