高学年になるほど「成績が失速→頭打ちになる子」と「あと伸びする子」 の決定的な差
わが子を勉強が得意な子に育ててあげたい。 これは多くの親御さんに共通する願いではないでしょうか。その願いを実現するために、小さい頃から習い事に通わせ、先取り学習をさせるご家庭も多くあります。私がこれまで教えてきた生徒の中にも、そういう子はたくさんいました。 【グラフ】1日3時間勉強しても偏差値50以下…。成績に悪影響なNG習慣とは? その子たちの中には、受験勉強を始めたばかりの小学校3~4年生くらいの頃には成績優秀だったのに、5年生6年生と学年が上がるにつれて失速し、成績が下がっていく子たちがいました。逆に、先取り学習などはしておらず、4年生の頃はそれほど成績が良かったわけではないのに、5年生6年生とぐんぐん伸びていく子もいました。 さらには、中学受験を終えた後に中高で頭打ちになってしまう子、伸びていく子の違いも見てきました。そうした経験を踏まえて「あと伸びする子」の育て方を親御さんたちにお伝えしたいと思っています。 この記事でお伝えしたいことは3つあります。
◆当てはまっていたら注意! 「あと伸び」を意識しないと将来勉強しない子に
1つ目は、「あと伸び」を意識することの大事さです。 これは「長期的視点に立つ」と言い換えることもできます。例えば子どもに勉強をさせようと思ったときに、短期的な視点で見れば「怒る」ことは簡単かつ効果的な手段です。 でも、そうしたお手軽な方法で宿題をやらせ続ければ、子どもは勉強が嫌いになり「怒られなければ勉強しない子」になります。そしていずれは「怒られても勉強しない子」に……。長期的な視点で見たら、それは良い手段ではありません。 また、試験で良い成績を取らせてあげたいと思ったときにも、短期的な視点で見たときには効果的な方法が、長期的にも良い方法とは限りません。次のテストに向けて必死に頑張る一方で、終わったテストの復習がそっちのけといった勉強法をしていると、目先の点数は少し上がるかもしれませんが、長期的に見れば成績は下がります。 忙しくて時間がない親御さんほど、長期的に見て効率の良いサポートをしなければいけないはず。しかし、人間はどうしても目先のことに目がいってしまうものです。「近くにあると大きく見える」というのは、モノだけでなくコトでも同じです。 「遠くにある子どもの将来の幸せ」よりも、「近くにある受験」の方に、そしてそれ以上に「さらに近くにあるテストの結果」の方に意識が向くのは人として自然なことです。そのせいで、長期的に見ると効率の悪い方法、あるいは効率が悪いどころかマイナスの影響がある方法を選んでしまったりします。 そうならないようにするためには「あと伸び」という意識を持っておくことが大切です。 「あと伸び」を意識すれば、例えば先取り学習にも、良いものと悪いものがあることが分かるようになるでしょう。あと伸びする子の特徴を簡単にまとめると、「勉強が好き」なことと、「地頭が良い」ことです。「地頭」については後述するので、ここでは「勉強が好き」になるかどうかという視点から考えます。 勉強嫌いになってしまう最もありがちな理由の1つは「勉強できないから」です。学校や塾などではどうしても他者比較にさらされますから、その中で他の子よりもできないと、「恥ずかしさ」「悔しさ」「劣等感」といったネガティブな感情を持ちやすく、その結果、勉強が嫌いになってしまうのです。 そうならないようにするための方法として、先取り学習は効果的です。先に勉強しておいて「できる」状態からスタートすると、気分良く勉強できて、勉強好きになってくれる可能性が高まります。 しかし、親御さんの中には「できる」ようにさせることに意識が向いてしまって、子どもを叱りながら無理やり勉強させてしまう方がいらっしゃいます。叱られることで勉強に対してネガティブな感情を持ち、そして「やりたくない」とぐずって叱られ、ますますネガティブな感情を抱く。 そうして先取り学習をやらされた結果、すっかり勉強嫌いになってしまった子たちをこれまで何十人も見てきました。確かに、その瞬間だけを見れば年齢・学年相当よりも先に進んでいて、他の子よりもできるのです。しかし、そういう子たちは、例外なく成長が遅く他の子たちに追い抜かれていきました。 「あと伸び」とは逆の、「頭打ち」になってしまったのです。「あと伸び」という意識を持っていたら、そしてそのためにはどのような働きかけを子どもにするべきかを考えていたら、避けられた結果なのではないかと思います。 先取り学習に限らず、「あと伸び」という意識を持つかどうかで、同じようなことをしていても真逆の結果になることがさまざまあります。