高学年になるほど「成績が失速→頭打ちになる子」と「あと伸びする子」 の決定的な差
◆IQが高い、勉強のセンスがある…「地頭が良い」とは?
2つ目は「地頭」を育てる大切さです。 「地頭が良い子」という言葉は、「知識がある子」という意味での「頭が良い人」との対比で、「才能がある子」「勉強のセンスがある子」という意味で使われることが多いと思います。中学校から高校にかけて、真面目に数学を勉強してもまったく理解できなかったという経験をしたことがある人は多いと思います。 もしかしたら中学受験で頑張っても、算数ができないという経験をされているかもしれません。良い成績を取るためには、ある程度の「地頭の良さ」が求められます。 でも、「じゃあ地頭を鍛えよう」と思っても、そもそも「地頭とは何か」が具体的でないと、どうやって鍛えたらよいかも分からないのではないでしょうか。例えば、「足を速くしたい」と子どもに言われても、それが短距離走か長距離走か具体的でなければ、どのようなトレーニングをさせてあげればよいのか分かりませんよね。 「とにかく走れ!」では効率が悪くなります。それと同じように、地頭を良くしたいと思ったときに、「とにかく頭を使え」では高い効果は望めません。 そこでまずは「地頭」について具体化をしようと思います。 「地頭」には「コミュニケーション能力」なども含める場合がありますが、ここでは勉強の成績に直結する能力という意味で「IQ」と定義します。IQは、小学生だと「WISC」という検査で測るのが最もメジャーで、最新版のWISC-5では5つの下位項目に分かれています。 その5つは、「言語理解指標(VCI)」「視空間指標(VSI)」「流動性推理指標(FRI)」「ワーキングメモリー指標(WMI)」「処理速度指標(PSI)」です。 それぞれ分かりやすく説明すると、「言語理解」は、その名の通り言語的知的能力です。国語はもちろん、他教科も含めた教科学習の基礎となります。語彙力が豊富な子は、将来的に成績が良くなることも示されています。 「視空間」は、平面図形・立体図形の認識力で、私の著書やYouTubeの中ではよく「空間認識力」と表現しています。算数・数学の非言語的な図形問題を解くための基礎となります。それだけでなく、大きさや割合といった、数値的な概念を理解するための基礎ともなっているのではないかと近年の研究で示唆されています。 「流動性推理」は、規則性・法則性をつかむ力です。論理的思考、抽象的推論、仮説検証といった能力が含まれます。特に算数・国語で良い成績を取るためには不可欠ですし、理科・社会においても、近年増えている知識の暗記ではなく、情報を読み取って答えるタイプの問題を解くためには重要となる力です。 「ワーキングメモリ」は、短期的な記憶された情報の維持と操作に関わっています。複雑な算数の問題を解き、長文の読解をするために欠かせない能力です。それだけではなく、集中力、注意力の持続、衝動の制御など、さまざまな認知的操作を支えるとても重要な役割も担っています。 「処理速度」は、その名の通り情報を素早く処理する能力です。この能力が高い子が、「頭の回転が速い子」です。テストのときにも家で勉強をするときにも時間的な制約が付きまといますから、処理速度が高い子は有利です。 これらを地頭と考えて、伸ばすための方法を実践していくとよいのではないでしょうか。「足の速さ」は持って生まれた遺伝的な要素も大きいですが、一方でトレーニングをすれば鍛えられるものです。それと同じように、地頭も遺伝的要素も大きいですが、鍛えていくことが可能です。ご家庭でできる地頭作りに取り組んでいきましょう。