大神いずみ「長男・翔大の履正社の卒業式。挨拶はまさかの短さ!関西弁に囲まれながら〈学校の皆さんに育てていただいたんだなあ〉と感慨深い」
◆3年間息子を支えてくれたクラスメートや先生方 卒業式で初めて知った、3年間息子を支えてくれたクラスメートや先生方。 名残惜しそうにみんな1人ずつ写真を撮っていたのを見て、母は改めて、初めて、 「翔大はこの学校で確かに3年過ごしたんだなぁ…」と感じた。 親元を離れて過ごした、親には見えなかった3年間の学校生活が、このとき初めて私には見えた。 そして初っ端から全然無事ではなかったけれど、3年間を終えて、翔大は履正社高校を卒業しました。 夫が大阪出身なので、わたしも大阪の家に嫁いで25年近く経つ。 でもまさか息子の進学で大阪にこんなに頻繁に通うことになろうとは。 ちなみにわたしは九州・福岡生まれ、高校卒業してすぐ横浜の大学に進学し東京のテレビ局に入社したので、人生でここまで福岡・東京・神奈川の3ヵ所でしか暮らしたことがない。
◆まさか関西人の嫁になるとは 昔から関西の言葉は面白いと感じていたのだが、関西人と結婚するとあっという間に新しい家族から関西の言葉が溢れだし、私の耳にすぐ馴染んでいった。 そういえば福岡でも土曜日の昼過ぎにテレビで見ていた「吉本新喜劇」。大好きだった。ああ土曜日。横浜に来たら毎週土曜日テレビでやっていないことに、軽く衝撃を受けたものだ。 テンポよくポンポンと、独特の抑揚で交わされる会話が面白くて、1人でマネをするのが楽しかった。意外に自分では上手いと思ってしゃべっているけれど、大阪の人が聞いたらやっぱりものすごく気持ち悪いんだろうなぁ。 そんなわたし、まさか関西人の嫁になるとは。 嫁に来て一番最初に「ん、何言ってる?」と思ったのは、ある日スーパーの買い出しに出るとき姑から聞いた 「いずみさーん、『ナンキン』買うてきてくれるかぁ?」という言葉。 なんですかそれ? 正解は「カボチャ」である。 そもそも言葉自体が違うものが結構ある。
◆関西弁は頑固である ソース、ドレッシング一般を平たく「たれ」という。スーパーの売り場の看板にも「たれコーナー」というのがある。 東京でいう「サンチュ」は「チシャ」、鶏肉は「かしわ」、ヒレ肉は「ヘレ」である。 ヘレ、て。 姑はずっと訛っているのだと思っていたら、大阪のおばちゃんはみんな「ヘレ肉、あんで~」と言っている。 何より夫が、厳しい訓練を受けてアナウンサーとしてそこそこ仕事をしていた私の言葉を、ケラケラと笑う。 わたしがあるとき、 「あ、カマキリがいるよ!」(カの音が一番高くてそこにアクセントがあります) と呟いたとき。 けーっ、けっけっけ。なんじゃそら? 「カマキリ」てなんや。(私の発音を復唱) 「カマキリ」(キの音が高くてそこにアクセント)やろ。 おにぎりもそうや。 おにぎり(〈に〉にアクセント)ちゃうわ、 「おにぎり」(〈ぎ〉にアクセント)や。 標準語として絶対に間違いなく「カマキリ(〈キ〉を強調」だと、アクセント辞典を引きながら勉強してきた私に対して主張し続けている。 …あのねぇ。 関西弁は頑固である。