メンズドレス系が好きな人たちのオフ会「背広散歩」:主催者が込めた思い
背広散歩の行く末
ー横のつながりが強くなっていくことに、どのような期待感をお持ちですか。 これをきっかけに、イベントがなくてもオフ会を開いてほしいですし、もっと洋服の話をしてほしいなと思います。 ちょっとした会話のきっかけから、買い物に行きたくなるでしょうし、来年の「背広散歩」にむけてネクタイを新調しようかなとか、靴を磨いておこうかなといったアクションが生まれるとうれしいですね。 今後も定期的に「背広散歩」は開催していくので、運営側もここまで作り上げてきたイメージを大切にしながら、より多くの人に気軽に参加してほしいと思っています。
ー参加者の皆さんは、本当におしゃれに写っていますよね。 そこは僕らも非常に意識しています。敷居の高くないコミュニティ性と、よりおしゃれなイベントにしていこうとする雰囲気作りですね。このイベントでは、必ず一人ひとりのスナップ写真を一眼レフで撮影しています。この体験は特別なものになるんですね。 僕自身、イタリアで開催される国際展示会「ピッティ・ウオモ」で、海外のフォトグラファーさんに写真を撮られて、何度かサイトに掲載されたことがあります。それを見ると、普段より断然かっこよく見えるんです。その感覚を皆さんにも味わってもらいたいですし、写真を撮られると思うと、1ヶ月くらい前からコーディネートを考えるようになって、よりファッションを楽しめる時間が増えるんですよ。
ー「背広散歩」で実施したいイベントはありますか。 これまで東京と大阪で開催してきましたが、日本全体を盛り上げるためにも、各地域で「背広散歩」を開催したいですね。特に、今回は台湾やバンコクからも参加してくれた方もいて、アジア全体も巻き込んでいけると最高ですね。 実は、いまアジアではメンズドレスが盛り上がっていて、若い人たちが楽しむ姿も多く、皆さんおしゃれなんですよ。この動きを欧米にも伝えていきたいです。 ーいまでは海外の人にも認知されるイベントにまで成長していると。 それで言うと、参加者の方との忘れられないエピソードがあります。 日本在住の韓国出身の方がメンズドレスの世界が好きということで、一人で「背広散歩」に参加してくれたことがあります。その後、彼が日本語でインスタグラムに感想を投稿してくれたんですね。 「行くかどうか迷ってたけど、参加してよかった」って。しかも、「これを機にメンズドレスの業界で働きたくなった」とまで言ってくれていました。これを読んだときに、ちょっと感動しちゃって。これも運命だと思うんですけど、彼はいま僕と同じ会社で働いているんですよ。 「背広散歩」が他人の人生を変えるほどの影響力があるなんて思わなかったですからね。これからも続けていこうと決心しました。 ー今後の背広散歩の展望を教えてください。 やりたいことは多いのですが、現状は手弁当でやっている状態なので、ゆくゆくは何かしらでマネタイズしたいと思っています。 運営側はタダでもいいのですが、撮影してくれるカメラマンも気持ちだけで参加してもらっているので、みんなが気持ちよく参加できる仕組みを整えていきたいと思っています。ですが、お伝えしているように、何か魂胆が透けて見えることだけは避けたいので、難しいところです。 また、この記事を読んで興味を持った方には、ぜひ次回の「背広散歩」に足を運んでほしいと思っています。どのようなスタイルでも構いません。アメトラっぽく、ベースボールキャップをかぶって、ニットタイを締めている人もいれば、ゴリゴリのクラシックではなく、ゆったりとしたスーツスタイルの方もいますし、モードっぽい服装の方もいます。 いろいろなジャンルの人がもっと増えればいいと思っていますし、ルールに縛られない着方をしている人が増えると、より楽しくなるだろうなと思っています。 《註》 [1]スーツやジャケットなどを装って台北の街を歩くイベント