メンズドレス系が好きな人たちのオフ会「背広散歩」:主催者が込めた思い
11月2日、浅草で「背広散歩」というユニークなイベントが開催された。スーツを身にまとい街を歩くこのイベントは、スーツという言葉から想像するような格式高い雰囲気とは一線を画している。参加する人たちは皆、自慢の着こなしを披露しつつ、ファッション談義に花を咲かせながら、楽しいひとときを過ごしていた。 今回、主催者のひとりである安武俊宏さんに取材を行い、ご自身がスーツに惹かれるようになった背景を掘り下げつつ、「背広散歩」を開催するに至った経緯やその目的についてお聞きした。そこにはファッションを楽しみ、業界を盛り上げていきたいという熱い思いが隠されていた。
スーツに魅了され、メンズドレスの世界へ
ーまずは、安武さんのスーツとの出合いを教えてください。どういった経緯でスーツに興味を持たれたのですか。 文化服装学院の同級生の影響です。1年生にしては珍しく靴磨きが趣味という2つ年上の同級生がいまして、彼と仲良くなったことでドレス系の雑誌を読み始めました。 革靴とベルトの色を合わせなくてはダメとか、このシャツにはこのネクタイを合わせて、結び方はこれでといった細かい作法が書かれていましたね。それを読んだときに、自分の感覚だけではなく作法も覚えれば、おしゃれに磨きがかかるんじゃないかと思い、のめり込んでいきました。 ー仕事でスーツに関わることになって、見方は変わりましたか。 考え方は変わらなかったですが、センスは先輩方にしごかれましたね。サイズの取り方や袖丈、パンツ丈へのこだわりが尋常じゃなかったんです。 たとえば、先輩の裾上げをすると「足の左右差があるから、右だけ0.3cm長くして」といった提案をしてきます。その僅かな差でクッションの出方が変わるんですね。 ーこだわりが強くなるほど、その人のスタイルはより洗練されていくのですね。 言葉では説明できないけれど、あの人おしゃれだよねと感じる場合、その方は確実にこだわりを持ったスタイルの人だと思います。