井岡一翔がタトゥー問題の米メディア報道と拡大解釈の誤訳記事に困惑…「インタビューは一切受けていない」
しかし、記事の構成としては、あたかも今回インタビューに答えたかのようにも受け取れる。さらに、この記事を翻訳して記事化した日本の複数メディアは裏もとらずに「『ボクシング・シーン』に自身の気持ちを語った」、「井岡がこのほど、『ボクシング・シーン』のインタビューに応じた」などと、この米サイトが今回の問題が起きてからインタビューしたものと拡大解釈をして、コメントの内容と共にこの記事を紹介した。 井岡陣営の幹部は、「井岡は、海外も含めてどこのインタビューも一切受けていませんし、答えてもいません。このような形で記事が掲載され、翻訳記事も出回っているので本人も我々も困惑しています」という。 これらは、確かに井岡が過去に発言していたコメントであり、彼の考え方として間違った内容を伝えたわけではない。だが、今回、JBCルールに抵触するタトゥー騒動が起きたさなかの、しかも、週明けに倫理委員会が開かれて正式な処分が決定する前というタイミングで、反論とも取れる内容を「海外のインタビューに答えた」と報道されてしまうと問題はある。まるでJBCのルールや今回処分対象となったことに徹底抗戦し、問題提起をしているような誤解をまねくからだ。心に思うことがありながらも、あえて口を閉ざしている井岡自身が、困惑するのも当然だろう。 井岡陣営は、この日までにJBCに対して電話で事情説明を終えた。井岡は、これまで日本人初の4階級制覇に成功した2019年6月のアストン・パリクテ(フィリピン)戦、同年大晦日のジェイビエール・シントロン(プエルトリコ)との初防衛戦の際には、ファンデーションでタトゥーを隠す措置を行って戦い、問題にはなっていなかった。 今回も、JBC関係者の立ち合いのもとで、入場直前にタトゥー部分にファンデーションを塗り隠す措置をしていたこと、あえてファンデーションを薄く塗ったり、タトゥーを見せようとする意図はなかったことなどを説明した。ただファンデーションの塗り方が薄かったのか、それともタトゥーが左腕の肩あたりまで広がり増えていたことが影響したのか、結果的に汗や試合中の激しい接触などもあって、試合の中盤以降にはハッキリとタトゥーが浮き出てしまった。井岡陣営も、その“失態”は素直に認めて、あくまでも想定外の出来事だったことを伝えたが、“反論”や“問題提起”は行っていないという。 一方でJBCサイドにも関係者がファンデーションを塗っている現場に立ち会いながら、その塗り方にクレームをつけずリングに上げてしまったという“落ち度”がある。ただJBCルールで禁じられているタトゥーが露出し視聴者から苦情がJBCに届くほど見えてしまったことは動かせない事実。JBCサイドは、これらの井岡陣営の事情を考慮した上で、週明けに開かれる倫理委員会で正式な処分を決定することを井岡陣営に申し伝えた。ライセンス停止、あるいは剥奪のような“厳罰”にはならないと見られているが、井岡陣営も処分を受け入れる考え。また処分が正式決定した段階で、井岡のオフィシャルコメントを発表する方向で準備を進めているという。