名勝負必至の4階級制覇王者・井岡一翔vs3階級制覇王者・田中恒成の日本人対決…勝つのはどっちだ?
大晦日に開催されるプロボクシングのWBO世界スーパーフライ級タイトルマッチの前日計量が30日、試合会場の東京・大田区総合体育館で行われ、王者の井岡一翔(31、Ambition)と前WBO世界フライ級王者で指名挑戦者の田中恒成(25、畑中)は共にリミットの52.1キロでパスした。井岡が「誰がチャンプかを証明する」と語れば、田中も「4階級制覇して世代交代。超実力派の新時代を作る」と豪語。両者の間にバチバチと火花が散った。名勝負必至のビッグカードのゴングは午後6時に予定されている。
両者は目を合わせなかった
互いに目を合わせなかった。新型コロナ対策もあって恒例のフェイスオフもなし。ツーショット写真を数枚だけ押さえると、井岡の方から、その場を離れた。 「見下しているわけではないが、存在は気にならなかった」 王者がそう言えば、挑戦者も対面の感想を聞かれ、「うーん、特には」。そして「状態はバッチリだなと思った」と印象を口にした。 計量の様子は、オンラインでメディアに中継されたが、2人の間に飛び交う“青白い火花”が画面越しに見えるようだった。 共に昨年の大晦日に勝利競演して以来、1年ぶりの世界戦。井岡は2度目の防衛戦で、田中には、史上初の6階級制覇王者、オスカー・デラホーヤの24戦目を大きく上回るプロ16戦目での世界最速4階級制覇達成の記録がかかっている。 井岡は、この日も、強気の発言をした。 不安はあるのか?の代表質問に「まったくないですね。すべては明日。試合をして誰がチャンプかを証明する。格の違い、レベルの違いを見せれる試合ができればいい」とコメントした。 試合が決まった段階から一貫して姿勢はぶれない。 「新型コロナ禍で当たり前が当たり前でなくなった。試合ができる日が来るのかという不安もあった。でもどんな状況でも決めたこと、やるべきことは変わらない。それを状況のせいにすれば逃げていると同じ」 それが王者としての責任と誇りである。 井岡にとって田中は招かざる挑戦者である。昨年の大晦日に指名試合を消化した。本来なら次に向かうのは田中ではなく、多団体王者との統一戦である。だが、新型コロナの猛威が世界のボクシング界をストップさせ、加えて井岡の世界市場でのネームバリューもまだ不足しており世界進出プランは停滞した。自らが4階級制覇に挑戦した際、一度引退したというブランクもありチャレンジマッチを経て挑戦権を得た。しかし、田中は、いきなりの4階級挑戦である。WBOの規定に沿う指名挑戦ではあるが、井岡は、そのプロセスにも納得がいかないのだろう。