〈食べログ3.5以下のうまい店〉体も心も温まる! 今フーディーが注目するのは、名店出身の店主による本格派の薬膳中華
滋味深い味わいのスープで体が温まる
季節で変わる養生スープも秋は同じく潤いをもたらす作用のある食材が中心だ。合鴨、パクチョイと呼ばれる広東白菜、杏仁、薬膳で使われる莫大海(ばくだいかい)のほか、ドラゴンフルーツを使っているのが面白い。ごく薄味に仕立てているが、さまざまな素材の味わいが重なり、飲み進むほどに奥深い滋味を感じられる。
川井さん「新宿御苑の古月時代もスペシャリテメニュー。なんとも優しい味で、体を労ってくれている感じのする料理。」
コースに追加して頼んで欲しい、名店の味を引き継ぐ麻辣豆腐
以前の店からスペシャリテとしてファンが多い「麻辣豆腐」は、追加でオーダーできる。熱々の土鍋で提供される「麻辣豆腐」は、修業先「古月」のレシピを受け継いだもので、古典的な中国の作り方に根差しているという。豆板醤を使わないのでさらりと軽やかで、牛肉と豆鼓のうまみが際立ち、シャープな花椒と唐辛子の辛みをほどよく感じられる。
川井さん「グツグツ鍋の湯気で目が刺激を受けるほどの感覚。辛さもあるが旨みもあっておいしい。炊き立てのご飯と一緒に食べることがおすすめ。」
デザートまで抜かりなし!
秋のコースのデザートは、金木犀の香り漂うヨーグルトシャーベット。下には白キクラゲ、梨の白ワインコンポートをしのばせている。フルーツの自然な甘みとヨーグルトの酸味でさっぱりと食べられ、コースの最後まで穏やかで優しい味わいが行き届いている。
川井さん「僕が行った時は「好吃(ハオチー)」と言う緑豆を使った汁粉のデザートでした。デザートと言えども、最後の最後まで体を気遣ってくれているが感じられる。」
薬膳料理と聞くと少し身構えてしまうが、こちらでは前田さんが薬膳のうんちくを語ることはない。東洋医学にも通じた前田さんの料理はどれも静かに体に浸み込むような澄んだ味わいで、体への負担を感じさせない。季節の変わり目の変化に合わせてゆらぐ体を整えてくれる、そんな料理だからこそ季節ごとに訪れたくなる。
※価格はすべて税込
旧雨
住所: 東京都新宿区西早稲田2-3-21
文:岡本ジュン、食べログマガジン編集部 撮影:八木竜馬