〈食べログ3.5以下のうまい店〉体も心も温まる! 今フーディーが注目するのは、名店出身の店主による本格派の薬膳中華
川井さん「とにかく甘味、辛味、酸味、塩味、苦味、の五味を各料理で楽しませてくれる。それでいて体に優しい。」
名店出身の店主が料理にかける思いとは?
厨房で腕を振るうのは、根津にある食養生の考えに基づいた自然派中国料理「古月」で腕を磨いた前田克紀さんだ。前田さんは「古月 新宿」のシェフとして活躍し、その後力量を見込まれて、オーナーから「古月 新宿」を引き継ぐことになった。それから十余年が経ち、2023年12月に新たにここ「旧雨」をスタートさせた。
「以前の店は25席と大きかったのですが、こちらは8席に絞って一人でもできるスタイルになりました。少しずつですが以前からやってみたかった料理を出していければ」と前田さん。
川井さん「前田シェフは以前ちょくちょくお邪魔していた新宿御苑の「古月」のシェフだった方。季節柄に合わせて体を気遣ってくれる薬膳料理がこの猛暑のバテ気味の時にうれしかった。シェフがワンオペにも関わらず、オープンキッチンで料理しながら、いろんな会話ができたり、麺を作るところを目の前で見せてくれたり、楽しませてくれるのも魅力。」
川井さん絶賛! 必ず食べて欲しいメニューとは?|季節を感じられる点心
基本はおまかせコースだが、そのほかに追加で頼める単品を用意している。特に焼売や春巻きなどの点心は旬の食材を生かした日本の四季を感じられる料理にしたいと力を入れている。例えば秋のキノコを使った焼売は、肉を使わず、干したきのこ、れんこん、もち米、大豆などを合わせて包み、スダチをしぼってさっぱりと食べさせる。
新感覚の牛乳炒めとは?
おまかせコースは約9品で年8回、春、梅雨、残暑、秋など季節の変わり目に大きく内容を入れ替える。秋のコースは、乾燥しがちなのどや鼻などの呼吸器を潤すことがテーマだ。潤いをもたらす作用のある食材を駆使し、食材同士の相性や最善の調理法などをじっくりと練って料理を組み立てるという。
例えば、秋のコースで提供する「ミルク炒め 銀杏あんかけ」は、肺や胃腸を潤す効果があると言われている牛乳を卵白と合わせてとろりとした食感に仕上げ、咳止め作用があると言われている銀杏をあんにからめて上からかけている。下にはパリパリの揚げた春巻きの皮を敷き、滑らかなあんかけとのコントラストを楽しませる。