誰もが自由に選べる服の未来を目指して

――今後はどのような方向を目指しますか。 大きく2つの方向性を考えています。 1つは、キヤスクがこれまで積み上げてきた価値をもっと見える形にすることです。オンラインサービスには多くの利点がありますが、一方で伝わりにくい部分もあります。お客様の感情や、キヤストの優しさ、出来上がった服の背景にあるストーリーなどです。 例えば、お客様が初めて自分で着ることができるようになった服を着て笑顔で写真を撮って送ってくださったり、「これで仕事に行けるようになりました」といった喜びの声をいただいたりします。こういったストーリーを、もっと多くの人に知ってもらいたいのです。 そうすることで、こういう困りごとがあるということをもっと多くの人に知ってもらえると思いますし、同時に、小さな工夫で誰かの人生を大きく変える可能性があることも伝えることができると考えています。 もう1つは、より多くの企業との連携を進めることです。ZOZOとの協業のように、他の企業とも協力して、それぞれの得意分野で着やすい服の普及に取り組んでもらえるようにしたいと考えており、その橋渡し役になれればと思っています。 例えば、アパレルブランドとの協業ではデザイン性の高い着やすい服の開発を進めたいです。また、素材メーカーとの連携で、より着心地の良い、機能性の高い生地の開発にも取り組むこともできるでしょう。さらに、テクノロジー企業との協力で、より簡単に着脱できる新しい仕組みの開発なども視野に入れています。 そして、これらの取り組みを通じて、「ユニバーサルファッション」という概念をもっと広めていきたいと思っています。障害の有無にかかわらず、誰もが自分らしく、好きな服を着ることのできる社会。そんな当たり前のことが、本当の意味で実現できる世の中を作りたいのです。 将来的には海外展開も視野に入れています。日本だけでなく、世界中の障害のある方々や病気の方々が、もっと自由に、もっと自分らしく服を選べるようになってほしい。そんな大きな夢を持って前進していきたいと考えています。